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Aside
外は雨が降っていてすごく、気味の悪い感じだった。
「ふざけてるにも程がある!何だ?これ。」
入り口を見てみると、薔薇で塞がれていた。
「外へ続く道が…。」
「薔薇で、ふさがれてる。」
「こんなもん!」
「トゲで傷だらけになります。」
「フッ、たかが薔薇のトゲだ!多少の切り傷ぐらい…。」
「そうよこんなとこにいるより、マシよ!」
そう言いながら弾田さんは部長の上着を無理矢理取った。
「待って!」
「何?」
はじめちゃんが薔薇のトゲを指刺した。
「何?」
「恐らく、薔薇のトゲに毒が。」
「毒?」
「青酸系の猛毒だね。皮膚の一箇所でもトゲに触れると、
一瞬であの世だ。」
「他に…他に出入り口は!?」
「館の周囲は全て薔薇の垣根で覆われてまして出入り口は、
このアーチしか。」
「私達ここから出られないってこと?」
中に戻って私達は濡れた体や髪を拭いた。
「皆さん警察が、しばらく救出は無理だと。
この館に通じる山道で崖崩れが発生したようで。」
「マジかよ。」
隣にいるはじめちゃんは、用意されてたフルーツ食べてるし。
「どういう神経してるの?こんな時に。」
「あの、みるくさんさっき、
デスマスク見た時確か"翔"って…知り合いだったんですか?
一心さんも八重姫さんも殺された人ご存知だったんですよね?」
そう聞きながらはじめちゃんは私の前にあったケーキを、
自分のところまで移動して食べ始めた。
「さぁ?俺は、ただ雑誌で見ただけだから。」
「確か、皇フラワーチェーンを経営してる皇翔よ。」
「じゃあ、下の名前が翔だったんだ。
みるくさん、呼び捨てるほど親しかったんですよね?」
「私、あの人と付き合ってたわ。」
「えっ!?」
「でも、もう3年前の話よ。」
「皇さんって幾つだったんですか?」
「今年で40歳よ。どうしてそんなこと聞くのよ。」
はじめちゃんは少し笑って「いえ」と返事をした。
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年3月15日 18時