双子の妹。1.【金田一少年の事件簿NEO】 (ページ26)

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Aside

今日は一旦、皆帰って良いとの指示が出た。
美雪ちゃんを送ってはじめちゃんと二人で帰る。

「撮影の時さいきなり私に水掛けて来たの、
守ろうとしてくれてたんだよね？私のこと。私勘違いしてた。
ありがとう。」

「おう。」

はじめちゃんと二人で帰るのは、
もうとっくに慣れてるのに今日は何故か緊張する。

「…私、蔵沢先輩が犯人だとは今は思えない。
ただ映画が大好きで、必死にいい映画撮ろうとしてただけだよね？」

「俺は、この連続殺人事件をこのままでは終わらせない。
この事件の謎は必ず俺が解いてみせる。
名探偵といわれた…じっちゃんの名にかけて！」

はじめちゃん…私も、必ず解いてみせる。

「私も、解いてみせるよ。」

「A？」

「この事件に巻き込んじゃったのは、
私が蔵沢先輩にスカウトされちゃったからだし。」

「…なぁ。」

「うん？」

「…俺さ、Aのこと…。」

「え？」

・

今なら言えると思った。

「なに、はじめちゃん。」

「やっぱり、なんでもないわ。」

「え？なんで？」

「いいから、帰んぞ。」

Aの手を取って、並んで帰る。
"好き"…このたった二文字が言えたらどんなに楽なんだろう。

俺たちが、双子の兄妹じゃなかったら良かったと何回思ったか。

「…はじめちゃん、ありがとう。」

「それなんのお礼？」

「色々！」

俺の横で笑顔を見せるAに、
俺はいつも以上に手放したくないと思っていた。