じゅうなな ページ20
数分もかからずに初日に来た学園長の庵に着いた。なんたってみんな早歩きなんだろうか。昔の人はみんな足が速かったのか。
疑問を消化出来ずにもやもやしながら、扉を開けた。初日と同じように、老人は部屋の奥に座っていた。教師陣も一部の六年生も変わらず、部屋の中央を取り囲むように座っていた。
「おお、天女さま一昨日ぶりじゃのう」
と呑気にそう言ってのけた目の前の老人に軽く殺意が湧いた。呼び出しておいて、何なんだその呑気な態度は。
イラッとするけれど今はまだ我慢だ。
座りなされと催促され、前に来たときと同じ位置に腰を下ろす。
「あの、話って何ですか？」
老人が何か言う前に話を切り込む。会話の主導権を握られると、必ず自分にとって不利な状況に話が持ってかれてしまう。それだけは防ぎたい。
老人はごほんとわざとらしく咳払いをし、こちらをじろりと見やった。
……何故か分からないけどとても嫌な予感がする。
「三年生の臨時教師をやってくれんかの」
「お断りします！」
私史上最高にいい笑顔で言ってやった。誰が自分から殺されに行くんだ。マゾじゃないんだぞ私は。
「実習続きで人手が足らんくての」
話聞いてないのかじじい。嫌なんだって。お断りしますって言ったじゃん。
「だ、だからって私みたいな素人には務まりません」
精一杯の抵抗だ。ほんとに勘弁してほしい。
「お主が賢いことは弥彦から聞いておる。幸い、足りとらんのは算術の授業だけじゃ」
あの意地悪ガキめ、チクりやがったなこの畜生。国語が苦手なのは言った覚えないんだけど。
「それに、何もせんのも退屈じゃろう。息抜き程度にどうじゃ？」
働けってことか。つまりそういうことなんだな。どうじゃ？じゃなくて、やれってことでしょ。そういうことなんでしょ。
「……分かりました。やらせていただきます」
既視感が半端ではないけど、ここはぐっと我慢するしかない。
まったく、ここに来てから流されるばっかりだ。
「では、今日の午後の授業を頼もうかの」
もう戻っても良いぞと言われ、腰をあげる。
「分かりました。では先に失礼します」
さっさと部屋に戻りたい。ペースを崩されっぱなしで、なにもしてないのに疲労感がすごい。
一応入口付近に正座していたさっきの六年生、立花君に声をかける。案内って言うよりかは、連行みたいな感じだったけど。
立花君の驚いた顔を尻目に庵を出る。何驚いてるんだ。
ああ、もう早く部屋に戻りたい。
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セナ(プロフ) - Ry osdさん» ありがとうございます!とても嬉しいです!励みになります!今はスマホの方で書いているのでIDが違います。ややこしくてすみません。 (2020年3月29日 3時) (
レス) id: 9a1a35c746 (このIDを非表示/違反報告)
Ry osd(プロフ) - ゆっくりでいいので楽しみにしてます。 (2020年3月29日 1時) (レス) id: d9cf167b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：利世 x他1人 | 作成日時：2020年2月22日 14時
