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上へ上へ、空へ目指して飛んだ。
翼が生えたかのように、空へ舞った。
手に当たった感触はいつも通りで、
繋いできた分の汗がボールを湿らせていた。
行く手を阻む壁を避けるように体を反らして
ほんの少し空いたストレートコースに
思い切りボールを打ち込んだ。
最高到達点に達した時、時の流れがゆっくりに
感じた。世界を置いてきぼりにしたような、
優越感を感じることができた。
ボールが地面に着いたのとどちらが先か、
かたい床に着地した。
見えたのはボールの行き先でも、
敵チームでもなかった。
眩しい光だった。
光の強さに目が痛み、思わず目を瞑る。
目に入った眩しい光に、自分が着地を
失敗したのだと悟った。
右足に突き刺さるような痛みを感じて、
意識が戻る。
痛くて痛くてしょうがない。
燃えるような痛みが突き刺すのに、
声は出ず、少し空いた唇からヒューヒューと
息が漏れ出すだけだった。
ザワつく会場をボー、と見つめながら
尋常ではないほど流れ出す汗が止まるのを待った。
担架に乗せられ運ばれる度に痛む脚を必死に
抑えながら困惑した顔で私を見つめる貴方に笑った。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年1月18日 15時