◯彼のために ページ33
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『あれ、康二しかいないの？』
向「おん、今は俺しかおらんで」
ふっかさんと照にぃは〜と各メンバーについて説明をサラッとうける。
『で、康二しかいないと』
向「そういうことや」
目黒に聞こうと思ってたけど、康二でも良いんだよな。
『ね、康二』
向「どないしたん？」
『この服を買おうと思ってて、これに合う羽織りものと靴とバッグと小物を教えてほしいんたけど...』
向「え、このワンピース買うん？」
『え、何、文句？』
向「いやそうやなくて、色が阿部ちゃんやなーって...」
阿部というワードに後から気がついた彼は1人慌てて「いや、なんでもない！」と弁解するように話す彼。
『私のメンバーカラーをお忘れで？
まあ、それは置いといて。教えてほしいの！』
ダメ？とちょっと上目遣いで書いてみれば、少し頬を赤らめて「ええけど...」と答えてくれた。
向「まず、羽織りものなら白とかええと思うで。
後、ベルトはこういうやつで、バッグは黒のあんま大きくないやつがええかなぁ」
画像を見せてくれながら説明してくれる彼。
わかりやすいし、今度から康二に聞こうかな。
『ありがとう！助かった〜』
向「いや、ええねんけど。急にどうしたん？」
ビクッ。
阿部のためとか言えない...。
『うーん。
言いにくいんだけど、ファンの子みんなオシャレだから負けてられないなと思いまして...』
ぱっと思いついたのは、未だに思うライブに来てくれるファンの子の服装のレベルの高さ。
私服はズボンが多いから、たまにはおしゃれしなきゃなぁと思うわけですよ。
向「なるほどなぁ。てっきり好きな人でもできたんかと思ったわ」
『へっ！？ないないないない...』
向「？なんかめっちゃ焦っとるけど...」
びっくりしすぎて康二からすごい勢いで離れちゃった。
好きな人ができたというか、再確認したというか...。
『いや、びっくりしすぎて離れちゃただけ。うん』
向「ならええけど」
ガチャと扉を開ける音とともにあの人がやってきた。
阿「いや何してんの」
向「え？話してただけやで」
異常な距離の開け方に違和感を抱いた彼は、扉を開けた瞬間にそう聞いてきた。
『うん、そう』
口が裂けても言えない。
◇
可愛くなりたいのです
◇
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