◯閉じたはずの ページ22
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月一で行く食事会。
仕事でうまくいかず、阿部ともうまくいかず、友人ともうまくいかず。
完全に負のスパイラルに陥っているのだ。
今の座席は右が壁で左がラウ。目の前に舘さんがいて、完全に疲れ切っている私は壁に頭をつけて寄りかかっている今。
美味しいご飯が嫌なこと全部吸い取ってくれたらいいのに。
ラ「月ちゃん？」
『どした？』
ラ「楽しくない？なんかすっごい疲れた顔してるけど...」
『あぁ、楽しいよ？』
心配かけてごめんねと謝れば、ならいいんだけどと少しだけ納得いかない顔をしながら笑うラウール。
さっきから痛いほど舘さんから視線がビシバシ刺さるので、何か勘づかれているのだろう。
アイドルたるもの、きちんと隠し通さなきゃいけないよな。
ただ、お酒がないから負の感情を忘れられないのが苦痛。
明日、仕事ないから家帰ったら飲み潰れようかな。
なんて帰ってからの予定を立てる。
まだメンバーはここにいるだろう。
楽しそうに目黒と話すラウに気がつかれないよう、舘さんにこっそりと帰ることを伝えた。
驚いた顔をしていたけど、これだけ負のオーラ放っているからなのか案外すんなりと承諾しくれて、申し訳なさから支払いだけは済ませておいた。
舘さんにタクシーで帰るって言ったけど、それは嘘。
歩いて帰りたい気分。
髪型は帽子で男の子っぽく見せて、服装はメンズ系のものばっかで固めてるから女には見られてない。
楽しいことを考えるようにして、家路を辿るが自然と涙が溢れてくる。
『なんなの...』
止まらない涙で視界がぼやけて、近くにあったベンチに座る。
果たして、芸能人が、女がこんなところで泣いていて良いのだろうか。
いや絶対危ないよね。なんて思っていたら、上から大好きで大嫌いな人の声が聞こえた。
阿「マジ、で...何、してんの...」
パッと視線を上げれば、肩が上下している彼の姿。
『なんで...』
阿「気がついたらいないし、最近普段以上にぼーっとしてるし、なんか疲れた顔してるし」
とにかく心配だったと最後に言われた言葉で、静かに涙が流れた。
『バカ...』
阿「...寒いから帰るぞ」
『え、ちょ！』
無理やり立たされたときに掴まれた右手は、阿部の家につくまでずっと繋いだまま離れなかった。
期待しても良いですか…？
◇
蓋はまた開くみたいです
◇
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