◯ストレスの代わりに ページ23
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『お邪魔します...』
久しぶりに入った阿部の家。
とは言いつつ、今までは実家の方しか行ったことないんですけど。
阿「とりあえず...飲む？」
『あ、じゃあ、ありがたく頂戴します』
普段とは違う距離感で、タジタジになりながらも会話を続けようと必死になる。
ただ、目は合わない。
缶ビールをテーブルに置く音が聞こえて、静かにソファに座れば、隣に阿部が座る。
こんなこと、撮影以外ではなかったから、ドキドキしすぎて、酔いが早く回りそう。
阿「ねぇ、俺のこと嫌い？」
『...かもね』
素直に好きと言えたなら、可愛い女の子になれるかもしれない。
だが、あいにく私は可愛い女の子になれないようだ。
阿「俺さ、ずっと後悔してんの」
ぽつりぽつりと話し始める彼。
『うん』
阿「こんな長く月城と喧嘩するとは思ってもなかった。
ずっと隣にいてくれて、笑ってくれて。
そう思ってた」
この人酔ってます？え、シラフ？と頭が混乱するくらいこんな姿を見るのは初めてで、びっくりして言葉が出てこない。
阿「俺、ずっとAの事好きなんだよ」
その一言で、何も考えられなくなった私。
テレビをつけていたはずなのに、それすらも聞こえない。
『えっ...』
阿「あ、お風呂入るでしょ？先入っていいよ」
この間、月城のお母さんから泊まった時用にって預かった服あるからちょっと待ってて。とどこかへ行ってしまった。
ありがとうとしか言えず、ぼーっとテレビを見つめる。
笑っている芸能人を見ても、内容が全く入らない。
阿「はい。いってらっしゃい」
お泊まりセット一式を渡され、くるっと体を180度回転されて、背中を押された。
いってきますと小さめの声で返事をして、お風呂へ。
湯船に浸かって、ぶくぶくとやる。
なんなんあの人。
そんなことを思いながら、着替えているとバスタオルが前使っていたものだった。
もしかして、また遊びに来ることを期待していた...？
いや、自意識過剰か。
かすかに香る阿部の柔軟剤にどこか落ち着きを覚える。
『あがりました〜...』
阿「俺のベッドで寝ていいよ」
『阿部は？』
阿「俺はソファで寝るから」
『...そっか』
数十分後
阿「あれ、月城？」
待ってたら、寝落ちしちゃっていたらしい。
◇
悩みが頭を支配する
◇
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