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「伏木蔵くん、お姉さんが何処かの城に仕えていたとか知ってる?」
「そーいうのはちょっとわからないです……お姉ちゃん、しばらく家に帰って来ていないので最近会えていないんです」
今は何処で何をしているんでしょうねぇなんて苦笑いをする伏木蔵を見て雑渡は密かに動揺した。
おいおいおい。しばらく家に帰ってきていない?最近会えていない?それは伏木蔵くんが知らないだけで、もう
雑渡の脳内はそのような内容で埋め尽くされた。
上記に記述したように、雑渡は関わったフリーの忍者は総じて消し去ってきた。つまりフリーの忍者である伏木蔵の姉と関わっていたら、この手で抹消済みということである。
そして不運なことに、雑渡は消した人間のこと一々覚えているようなタイプではなかった。もう二度と会わないんだし覚える価値は無いでしょと、抹消の任務が終わり次第早急に忘れることにしていた。
だけど、
「……お姉さんって何か見た目に特徴とかある?」
例え覚えていなかろうともこう聞かずにはいられなかった。だって、もしかすると大切な友人の大切な人をこの手で消してしまったかもしれないから。
雑渡にとって伏木蔵は、敵であると同時に年の離れた友でもあった。そんな彼に恨まれ、憎まれ、永遠に許してもらえなくても当然のことを自分はしてしまったかもしれないのだ。
「特徴ですか?んー最後にあったのが3年前なんで、今は変わっちゃっているかもしれないですけど背が高いです!」
「背?」
「はい!僕より背が高いんですよ〜肩車とか良くしてもらいました!」
3年前だと伏木蔵くんは7歳。彼と姉の年齢差は知らないが、7歳より年上の方が背が低い事はなかなかないだろう。あまり特徴としては参考にならないな。
「他には?例えば伏木蔵くんと似ているところとか」
「僕と似ているところ?んーっとぉ……あ、目が似ています!!」
「それは形が?」
「はい!お姉ちゃんも僕と同じような垂れ目なんですよ〜しかも大きくてぱっちりした綺麗な目なんです!」
よく似ているって言われるんですと、自身の目を指差す伏木蔵。雑渡はその垂れ目と視線を合わせた。
……その目、何処かで見覚えがあるぞ?
突然襲ってきた既視感に雑渡は頭をフル回転させた。一体何処で、そしていつこの目を見たのか必死に思い出そうとした。
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レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました!続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!更新を喜んでいただけて嬉しいです!これからも頑張ります!!またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました! (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー! 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか? 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい! (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます!面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです!!これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです! (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
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