二百八十八話 ページ36
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背後から空気を裂くような音が近づいて来る。
彼がとっさに樹の陰に身を寄せると、敵の投げた短刀が、カカカカッ、と幹に突き刺さった。
「そろそろ観念したらどうだ?」声がした。
「鬼ごっこもそろそろ飽きてきたぜ」
肩で息をしながら、彼は腰の
クナイが一本と、煙玉が二つ。
すかさず煙玉を取り出し、後手に敵にぶつける。
ボンッ、という破裂音につづき、敵が煙に巻かれた。
彼は樹の陰から飛び出し、クナイを握りしめ、煙の中の陰に挑みかかる。
ギンッ!ギンッ!
刀身のぶつかり合う音が森にこだました。
ギンッ!ギンッ!
「ぐあ!」
思わず膝をついた。
煙がゆっくり晴れると、目の前に敵の短刀があった。
「諦めろ」と、敵の忍がが言った。
彼は膝に手をつき、どうにか身体を押し上げながらつぶやいた。
「一言いいか...?」
「聞く気はねェ...」
そう言うなり、短刀を構えた敵が体ごとぶつかってくる。
「もう、くたばれ!」
その勢いで、彼の身体は樹の根に押し付けられた。
「オレが諦めるのを――」
次の瞬間、彼の体が、ボンッ、とはじけて煙と消え、本体が敵の背後に現れた。
「諦めろ」
首の後ろに手刀を叩きつけてやると、敵はドサッと崩れ落ちた。
「くっ...」
倒れた敵が嘲笑う。
「オ...オレを倒しても、またつぎの刺客がこの里を襲う...」
彼は静かにを見下ろした。
「ケケケ...オレたちが呪われた忍の世界に...生きている限り平穏は...ない」
「なら...オレがその呪いを解いてやる」
彼は消えゆくチャクラをどうにか束ね、やっとの思いで立っていた。
「平和ってのがもしあるなら、オレがそれを掴み取ってやる!オレは諦めない!」
双方の視線が交わる。
木の葉が音もなく舞い落ちた。
「き...きさまは......?」
彼は樹々の間から青空を仰ぎ見た。
「オレの名は――」
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ゆずっきー(プロフ) - もう2年も経ってんのかぁ…。とりあえず頑張ってください! (2020年9月6日 11時) (レス) id: 637f23fc7b (このIDを非表示/違反報告)
M.F(プロフ) - 華さん» ありがとうございます!!!ものっすごいのんびりですけど頑張ります! (2019年2月17日 8時) (レス) id: 805f8bcdae (このIDを非表示/違反報告)
M.F(プロフ) - 船長さん» (-ω-;)ウーン。落ちはなしにする予定なんですけど…考えておきます (2019年2月17日 8時) (レス) id: 805f8bcdae (このIDを非表示/違反報告)
華 - とても面白かったです! いろいろ大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援しています! (2018年12月13日 18時) (レス) id: 6998a44ad0 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 落ちをマダラにしてくれませんか?マダラが大好きすぎるのでできたらお願いします (2018年4月5日 16時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みこと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/motyo
作成日時:2017年4月11日 23時