8曲目 ページ10
「いたい！痛いってば！天祥院！！」
無言で私を引っ張りスタスタ歩いていく天祥院。
周りの生徒の視線が刺さっていく。
「アレっテ.....？」
「天祥院！天祥院英智！！」
「ちょっと黙っててAちゃん」
顔は後ろからしか見えないが怖い。
なにをそんなに怒っているのか聞き出せない。
どんどん天祥院は奥に進んでいく。
「ちょっト！Aねえさんに何してるノ！」
後ろから語尾が歪な特徴的な聞き覚えのある声が聞こえた。
その手は反対側の手を掴んでいる
「...逆先くんか」
「ナツメッ！」
「廊下が騒がしいと思ったラ。皇帝陛下がAねえさん引っ張っテ、何してるノ！」
赤い髪に白のメッシュが入った男の子。
五奇人が1人、逆先夏目。
呼び止められて天祥院はハッとした表情をする。
「いや、Aちゃんがプロデュース科に編入するからその手続きの書類に抜けてるところがあってね」
「じゃア、そんなにAねえさんノ、腕を強く握る必要ないよネ？」
「天祥院...」
天祥院が少し顔を曇らせたのが見えた。
どうやら本人は気づいてなかったらしい。
ただえさえコイツのこと気に食わないのに強く握られ痛い思いをさせられたので許すつもりは無い。
「ごめん...Aちゃん」
「いいよ、許さないから」
「Aねえさん気分良くなさそうだかラ、手を離しテ」
私の顔を見てかナツメが天祥院を睨みつける。
この子も天祥院が大っ嫌いなのにわざわざ止めてくれたんだ。申し訳ない...
「...じゃ、昼休みに抜けてる部分教えるからねAちゃん」
「嫌だけどいいよ」
「行コ、ねえサン」
今度はナツメに手を引っ張られ外へ向かっている
...ソト？
「ナツメ！？授業は！？」
「そんなのどうだっていいヨ。それよりリ、なんでAねえさんがアイドル科に居るノ？」
「それは...」
ナツメにプロデュース科への編入の説明をした。
この子は去年から私に懐いてくれる可愛いもう1人の弟的存在。
魔法使いらしくワタルの弟子らしい。
「ふーんねえさんがプロデュース科ネェ？」
「なにその言い方」
「イヤ？ねえさんどちらかと言うト.....」
「あーあーアイドルなんかやりませんー仕方が無いのでプロデューサーですー」
「相変わらずだネ」
過去の事がありかなり酷く落ち込んでたのではと心配していたけど大丈夫そうでほっとした。
「ねえさんもここにいるんダ...良かっタ...」
そう言ってナツメは赤らめながら私に抱きついた
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作者名：ルナ | 作成日時：2022年4月16日 6時
