21曲目 ページ23
｢そっか後でレオにお礼言わなきゃな｣
｢Aちゃんまだ顔色悪いから寝といた方がいいと思うよ｣
｢天祥院と同じ空間で寝れるわけないでしょ｣
｢さっきまで寝ていたけどね｣
天祥院がにっこりと笑いながら私の上に布団をかけ直していく。
天祥院の顔は普通に戻っていた。少しは休めたみたい。
｢てか天祥院いつまでベッドの上にいる気？自分とこに戻ったら？｣
｢弱ってるAちゃんはなかなか見られないからね、何かあった時に弱み握ってたら便利でしょ？｣
｢うわっ知ってたけど性格悪っ｣
｢褒め言葉として受け取っておくよ｣
そう言い合いしてると天祥院は私が見たこともない顔で笑っていた。
高校生なのに少し幼く笑っている天祥院が珍しくてつい言葉が漏れた。
｢そんな風に笑うと本当に天使みたいだね｣
｢え？｣
｢あっ…｣
突然の言葉に驚いたのか次は紅くなり照れたような困惑したようなでも嬉しそうな顔をしていた。そんな天祥院を見るとついつい私のイジってしまうクセが出る。
｢へー？そっか〜私よりまだ年下だもんねぇ？おーよちよち！さすがに年上の綺麗なお姉さんに褒められてドキッとしちゃったのかな？可愛いね〜”エイチ”くん｣
｢ちょっとAちゃん、あんまり今の僕の顔見ないで…Aちゃん急にからかってくるよね性格悪いよ…｣
片手で顔を隠しながら文句を言う天祥院。
本当に子供だなと思いながらイタズラ心が止まらない。
隠した手の後ろから見えるぷくっと膨らませた天祥院の頬は中に苺でも入ってんのかってくらい紅い。
｢あれあれ？いつも皇帝陛下って恐れられてる子が急にどうしたのかな？｣
あまりにも可愛くて私もずいっと顔を近づけ覗き込もうとした。
耳まで紅くなってる天祥院はまるで初めて病室で会った時みたいだった。
｢もう、しつこいよAちゃん｣
｢ははっいつものお返しだよ嫌いな相手から迫られんの結構イヤでしょ？｣
そう言うとピタッと天祥院の動きが止まって次は悲しそうな顔を浮かべた。
私は急いで天祥院から顔を離そうとした時がっしりと両手で顔を掴まれて強制的に天祥院との距離が一気に近くなる。
｢僕、Aちゃんのこと一言も嫌いって言ってないんだけど｣
じっと私を見つめる瞳がすぐ近くにある。
夕陽でキラキラした天祥院の髪の毛が私の頬にかかる。
天祥院の顔が見られない。
ただ
唇になにかが触れた感触だけはわかった。
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作者名：ルナ | 作成日時：2022年4月16日 6時
