12曲目 ページ14
『新しいユニットだよ、今度またライブするから良かったらAちんも来てくれ』
『待ってますよ』
Ra*bits...ナズナと話が終わり私はカナタがいるであろう噴水に向かった。
そうか、ナズナはシュウと別の道に進んだのか
「あれれ〜？Aじゃありませんか〜」
この緩やかな声は...
「カナタ！！」
「ふふふふ〜おひさしぶり、ですね」
「やっぱりここだった！久しぶり！カナタ！」
「A、きょうからあいどるなんですか？」
「アイドルではないよプロデューサーになるんだって」
噴水からにこにこと私を見てカナタは少し悲しそうな顔をした。
「じゃあ、あのとき...」
「はい、カナタ、しー...なにも言わないでね？」
「...Aはやっぱりやさしいですね」
「カナタ、私は自分で決めたんだよ。カナタのせいじゃないし」
そう、カナタの言いかけた言葉は私が遮った。
あの時もそう自分で決めたんだ。
自分で決めて自分で選んだあの”願い”を
「そうだ、Aもいっしょにどうですか？」
「え？」
「きもちいいですよ？ぷかぷか...♪」
「あ、遠慮しとくよ」
「そうですか...ざんねんです」
カナタは親しい人を水に引きずり込む。
前なら入っていたけれど今回からは入れない。
カナタとの懐かしい時間を思い出しまた泣きそうになる
「A...？」
「あっ、なんでもないよ！」
「そうですか？Aはかくしごとがおおいですからね、いいこいいこ」
そう言って濡れた手で私を撫でるカナタ
久しぶりに撫でてもらった
「ありがとうカナタ」
「いいんですよ〜」
カナタも少し明るくなった。
あの子のおかげだな…
あの時カナタを”助けてくれた”ヒーローに私は感謝している。
「じゃカナタ、私教室戻るから」
「はい、いってらっしゃい…♪」
私は立ち上がって後ろを向いた途端に裾を引っ張られた
「...どうしたの？カナタ」
私は振り向かずに問う。振り向かなくてもわかる。
この子はやっと自分で言えるんだ
「ひとりごとです。ぼく、もういちどAといっしょに...」
その言葉は噴水が勢いよく上がったところで掻き消された。
私以外にカナタが話したことは聞こえない。
「...私もだよカナタ」
「ぜったいですよ？」
「約束」
振り向いてカナタと約束した
「じゃ、また今度ねカナタ」
「はい、おかえりなさいA」
やっと大事な人達に会えた、これからも会える
スキップしながら教室に戻った
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作者名：ルナ | 作成日時：2022年4月16日 6時
