十六歩 ページ16
帰り道。
いつも通り、
いつもの道を歩く。
辺りにはふわふわと雪が舞っていて、
これから積もるのだろうかと考えると、
少し気が滅入った。
でも、雪が降る様子を見るのは好きだった。
今まで見ていた景色が雪によって、
また少し違うものに見えるのが新鮮で好きだった。
そんな中、手についた雪が
すぅと何も無かったように、
消えるのを見ると、なんだか心がざわついた。
…この雪のようにすぅと
綺麗にさっぱり消えてしまえたらいいのに。
人に言えないような失敗も、
恥じらいも、
人生も、
何もかも。
自■願望はないが、
死ぬのなら誰も知らないところで
死にたいと考えたことがある。
誰にも囲まれず、一人で静かに逝きたい。
今の俺ならそれができるのでは?
このまま同じように毎日を繰り返せばいいのでは?
そんなことを考える自分が嫌になるのに、
そう考えるのをやめれない。
『………』
ピタリと足を止める。
振り返り、
相変わらずチカチカと点滅する街灯を見つめた。
また、気配を感じた。
何かがじぃとこちらを見ているような、
そんな感じ。言いようのないねっとりとした何か。
居るのは、ユラユラと揺れる影。
誰かそこに居るのだろうか。
この前のように、
気配を感じた俺はそこへ近付く。
『誰…?』
そう声をかけても、影は答えない。
ただ、ゆらりと影を大きくし、
じっとこちらを見つめていた。
暗い、暗闇の中をさらに暗い影が揺らめく。
俺はひょいと覗くように、電柱の後ろを覗いた。
『ぇ……』
そこに居たのは____
・
・
・
「にゃぁ…」
『…なんだ、猫か』
一匹の黒猫だった。
少し大きな身体をもつソイツは、
足で自分の頭をかくと、俺を見て一声鳴く。
『そんなとこにいると風邪ひくぞ』
「にゃぁ」
撫でようと手を近づければ、
また鳴いて、
タッタと軽快なリズムで走り去っていった。
伸ばした手をきゅっと握り、
去っていった背を見る。
猫に逃げられてるところなんて、
見られたら恥ずかしいな。
そうぼんやり思いながら、腰をあげ、
再び帰路に着く。
その姿を見られていたのも知らずに_
「…」
3506人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
理 - 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時