十五歩 ページ15
携帯に予めセットしておいた目覚ましで目が覚める。
朝までコタツで寝てしまったようで、
コタツから這い出れば、
ひんやりとした空気が逆に心地よかった。
『ふはっ…』
くわっと大口開けてあくびをする。
そのままガシガシと頭をかけば、
ヒョコリと髪が跳ねているのに気付いた。
跳ねやすいのは自覚しているが、
こうも毎日跳ねられると嫌になってくる。
一度短く切ってもらうのも良いな…と
ぼんやり考えながら仕事へ行く支度をし、
適当に栄養補助食品を食べ、家から出た。
・
いつも通り田舎な風景を眺めながら会社に向かう。
電車もあるのだが、
人が多いところは苦手だし、
こうしてゆっくり歩くのが好きだった。
だが、最近は冷え込んできたので、
雪が降ったら歩いて帰るのは程々にしようと
考えている。
さすがに雪道を歩くのは疲れるし、
風邪を引いて会社を休むのは気が引けた。
休んだあとに、
自分だけ昨日何があったのか知らない、
皆来たのに自分だけいなかった、ということを
考えてしまうのが嫌だった。
・
下級呪霊がうようよと動いているのを
気にも止めず、会社に出社し、
通り過ぎる人と適当に言葉を交わす。
『おはようございます』
ぺこりと軽く頭を下げ、まっさきにデスクに向かう。
どかりと椅子に座り、パソコンを起動させれば、
隣にいる同僚が何か唸りながら、
俺に缶コーヒーを渡してきた。
なんだこれ。
そう思いながら見れば、
同僚は「うぅ…つらい…今日がまた始まる…」と
言いながら、俺にはグッドサインを向けてきた。
今日も仕事頑張ろうぜ、というわけだ。
『…ありがとうございます』
ぽつりとそう呟き、頭を下げれば、
彼はグッドサインをふよふよと左右に揺らした。
・
結局、また遅くまで仕事をしてしまった。
外はもう闇に包まれ、室内でも薄暗さが目立つ。
今日はもういいかな。
行った仕事を頭の中にピックアップしながら、
パソコンを閉じる。
明日のことを考えつつ、帰りの準備をすませれば、
隣から「ぐぅ…ぐー」と寝息が聞こえた。
疲れているのだろうか、
目元には隈がうっすらとできている。
『…』
俺はその様子にはぁと溜息をつくと、
会社内にある自動販売機に向かい、
適当に温かいお茶を買った。
それを同僚の机に置き、
会社を出ようと出口に向かう。
「…ぁんがと」
後ろからそんな声が聞こえた。
振り返ろうと思ったが、
結局振り返らず帰路に着いた。
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理 - 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時