居酒屋で会った飲み仲間【五条悟】 (ページ9)

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死ページ9

四方道開...四宮家に伝わる術式。
そこまで強力ではなく、相手の術式を無効にし、領域展開された場も強制的に現世に戻すもの。
もう一度相手が術式を発動すれば意味は無くなる。
また此方にはある程度の発動準備時間が課される。

長兄は突然訪れた。一切呪力を見せずに、それは人の為せる技ではない。
｢此奴が居なくなれば、封印はなくなるか｣

その瞬間、長兄は振り返り驚いた次兄の心臓を1突きした。

｢兄貴!!｣

思わず陣から飛び出る。崩れ落ちる次兄を何とか支えようとした瞬間。妙に重く感じた。
次兄は既に息を引き取っていた。

｢な？！……｣

｢悲しいなぁ。此奴も何もしなければ家族だから殺さなかったというのに、しょうがないかぁ｣

悪びれる素振りも見せない兄貴は、ニタニタと笑い続ける。

｢何が、何がしょうがないんや!!よくも、よくも殺ってくれたな!!｣

握った拳で長兄に殴り掛かるも簡単に躱され、首元に鎌が当てられる。

｢おっと～。今ここで器が死ねば異がどうなるか自分が分かってるだろう？｣

思わず反射的に体が止まる。そしてその瞬間に体に耐えられない程の衝撃が伝わった。
強く壁に打ち付けられ、何かに吹っ飛ばされたと分かったのはその数秒後だった。

｢大人しくしとけA｣

笑顔が消えた長兄は、それは恐ろしい顔だった。

｢お前の中の異が俺の半身を喰ってから全てから目が覚めたよ。
この世は、絶対的力と才が存在する事を…
俺はそれが欲しくて堪らなかった。
お前の異の力がたまらなく欲しかった。
それから10年、お前から異を取り出し取り込む方法を研究し続けた。やっとその方法を見つけたというのに……
突如お前の消息は途絶えた。ついイラついて近くにいた使用人を殺したっけなぁ
俺に当主を譲ったババァも口煩い親共も、冷えた目で見てくる使用人もその後殺したっけ。
……あ、言っとくが必要犠牲だ。俺を更に高みに、最強となる為のな｣

｢!?｣

｢そう驚くな。四宮家は元々お前の異を解放して強くなる事を望んだ。これで俺は四宮家の中でも類を見ない強さを持つ。御三家と同等に並ぶという一族の願いが叶うんだ。安い犠牲だ｣

兄が淡々と告げる倫理観の微塵もない発言に思わずよろける。

何々だこの男は。本当に私と血の繋がりのある兄貴なのか？

だが、私と対して変わらぬ容姿である事は血縁を確かめるには十分だ。しかしそれ以上に今は次兄を殺した事が何より許せなかった。