中原幹部と家出少女 2nd。【文スト】

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帰りの車の中で、何故かお互いに一言も喋らなかった。先刻までは。


「中也さんの事かっこいいって思った。」


「…はぁ！？」


思わず驚いてハンドルを握る手が不安定になった。


揺れる車体。


Aに云われた言葉と危うく事故りかけた事でどくどくとうるさい心臓。


「中也さんの事他の人より好きなんだと思う。」


ちらりとAの表情を見ようとするが、外を向いていてわからなかった。


「先刻の敵とやってる時、中也さんは私が殴られた後怒ってたよね。なんで？」


「なんでって……手前が傷つけられたから、だろ。」


「それって昔からの縁とか関係ある？」


そう云われて考えてみたが、その時の俺にそんな事考える余裕はなかった。


「嬉しかった。」


静かな車内に響いたその言葉は、疑いようのないAの本心だった。


「もう少しで中也さんの事好きになれると思う。酷い奴だって自分でもわかってるけど、ひとつだけお願いがある。」


__仮の彼氏になって。

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