5.やっぱ1番は赤色なんだな ページ5
あれから7年。
ついに帝光中学校入学式の日となった。
何度も羨ましいと思った制服に袖を通してくるりと鏡の前で回ってみる。
さつきちゃんや小町程ではないが似合っていると思う。
「お母さんおはよ〜」
「A!おはよ」
制服にあってる、と自分の事のように喜んでくれる。
絶賛思春期ということもありお母さんとの距離感も少し遠くなったがそれでも仲はいい。
行ってきます、と微笑んで玄関の扉をぐっと押した。
「あ、小町、おはよ!」
「Aおはよ〜!」
門の前で待ってくれていた小町に挨拶をする。
主人公補正なのか性格は小説通り優しくて、成績優秀、運動神経抜群の美少女に育った。
並ぶと比べられたりするのだが、それでも一緒に仲良くしていたいのでずっと仲良しである。
「やっぱ制服似合ってるね〜」
「えへへ、そうかな?Aのほうが似合ってると思うけどな」
前言撤回。
美少女で可愛すぎる性格の子に育った。
お世辞でもありがとうとお礼を言っておき照れ隠しをしておいた。
帝光中学校の正門に着いた。
正直、感動して泣きそうである。
あれほど通いたいと願った学校。
そこにいることが信じられなくて頬をぺちぺちと叩いていると何をしているんだという目で見られてしまった。
いけないいけない。
ここではいかにキセキと当たり障りない日を過ごせるかだ。
どうせ関わることになるんだ。
だったら小町の友人Aとして、モブとして役を成したい。
クラスは1年1組。
小町とは少しクラスが離れてしまったが、まあそんなことよりもキセキに嫌われるという最悪の状態を回避するのだ。
そのためにはできるだけ関わらないことが得策なのだが…
「あのー」
ロールプレイングゲームがある。
レベル1からコツコツとしようと思ったのに一番最初のステージでラスボスが出てきた時君はどんな反応をする?
本当に、どうしたものか。
前世の私は何を考えていたのだろう。
まさかのぶりっ子悪女とキセキとの最初のコンタクトが赤司君だなんて。
私は赤司君推しでもあったからそれは嬉しいけど彼は育ちがいい。
私に挨拶しようと思っているのか話しかけてきた。
正直気づかない振りをしたい。切実に。
でもこんなの挨拶しないだなんて赤司君に失礼なやつだと思われてしまう。
何よりマナーがなっていないにも程がある。
本に夢中で気づきませんでしたよ、なんて白々しいオーラを醸し出しながらあ、はいと彼の方へ向いた。
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天 - 凄く面白いです!更新頑張ってください! (2020年11月20日 16時) (レス) id: e6de3d2e77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しお | 作成日時:2020年7月5日 18時