17.主人公は序章 ページ17
バスケ部に入り数週間経った後だった。
期末テストが終わり、そろそろ夏休み…という浮ついた空気感がある中、いつものように私は図書室にいた。
もちろん、図書委員としてなのでテツ君も一緒にいる。
あまり干渉しすぎると後が怖いのでやめた方がいいのだが、私は欲望に弱い女なのである。
推しを目の前にして話さないやつがどこにいる。
「マネージャー…」
「そうなの、だから終わった後は毎日倒れそう」
考え込むように呟いた彼の横顔を見ると長い睫毛が影を落とす。
対する私はバーコードリーダーのボタンを何回も押して暇を潰す。
この学校は活発な生徒が多いのか、図書室には全く人がいない。
それをいいことに2人で沢山話しているのだが。
バーコードリーダーを当てると目を眩しそうに細めた。
不機嫌そうにするその顔もめちゃくちゃ可愛いよ。
「でも白雪さんに全然会いません…」
バーコードリーダーを私から奪い取り私が手を伸ばしても届かない場所に置いた後、テツ君は言った。
「あー…一軍だからかな?」
そう。
小町がいることや、赤司君がいることを考慮してくれ、私は主に一軍のマネージャーをさせてもらっている。
本当はただでさえ教室では赤司君が、部活では彼らがいるということで心臓が持たないので三軍に行きたいのだけれど。
これ以上わがままを言うと赤司君が面倒くさそうで我慢するしかない。
「なるほど…じゃあ青峰君と同じですね」
そっか。
もうテツくんは青峰君と出会ってるんだ。
じゃあもうちょっとで一軍に入れちゃうじゃないか。
もう先の展開を知っている自分に何か少し悲しくなったがまあいいやと適当に流す。
「じゃあ今日から私も一緒に練習しようかな〜!」
「本当ですか!」
伸びをしながら少し大きな声で言ってみる。
ぱあっと表情が明るくなる。
それから彼はふにゃりと目を和ませて笑った。
「今日、楽しみにしてますね」
ありがとうございます。
可愛いです。
1週間は生きれます。
今日の1位はテツ君だ。
ちなみに、彼の目を盗んでバーコードリーダーを取ろうとしたら腕を捕まえられた。
そして、私が二度とテツ君にイタズラしないようにと休み時間が終わるまで彼が私の手を握っていたことを追記しておこう。
心臓と手汗が尋常ではないなかった。
人体とはとても不思議なものである…。
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天 - 凄く面白いです!更新頑張ってください! (2020年11月20日 16時) (レス) id: e6de3d2e77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しお | 作成日時:2020年7月5日 18時