ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１３８ るすside ページ48

ヴァンプに記憶が見られてると知ったとき、本当に怖くなった。

ヴァンプのことが？…ちがう。ヴァンプに、嫌われることが。

俺は悪くない。俺は悪くないって自分ではわかってる。そう言ってくれる人もいた。

でも、一番身近だった兄貴からの拒絶は、誰の「るすは悪くない」って言葉よりも胸に残っていた。

会って初日の時すでに見られていて、その後も話したりしているんだから今更気にしてもって感じだろうけど。だけど、ヴァンプのあの塩対応は俺のこと軽蔑してるからじゃないかとか、つい考えてしまう。

さっきまで隣でぼうっとしてたはずの坂田がヴァンプの髪を触っていた。うらたさんのおかげでヴァンプは少しずつ顔色が良くなっているけど、やっぱり青白くて人形みたいだった。

ヴァンプを見ていると、ふと変な気分になることがある。

閉じ込めて、縛り付けて、誰にも取られないようにしまってしまいたいような、そんな気分。

今も、そんな状況じゃないってわかってるけどその欲がじわりと滲んだ。

る「嫌われたくないんよ、俺。」

ぽつり本音が口から漏れた。

ま「…ヴァンプだって、きっとそうだよ。」

いつのまにか、目の前にまふが来ていた。

ま「イギリス戦の後、ひとりで泣いてるヴァンプに声をかけたら言われたんだ。『見ないで。まふまふさんは弱い人嫌いでしょ。』って。
僕の自己紹介の時の言葉、気にしてたみたいでさ。」

確かにまふはそんなこと言ってたな。

ま「死ぬの、本当は怖かったんだろうね。戦う時だって足震えてたし、正直ヴァンプはひとつも強くなんかない。」

それを聞いて、ふと思った。

る「強くなるって、なんなんやろな。」

俺の言葉を聞いたまふまふは困ったような顔をした。

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