探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】 (ページ9)

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② ページ9

間宮は考えた。仮に乱歩がサンタを信じていたとして、それはそれで滑稽だから面白いのではないか、と。何時も自分を莫迦にしてくる男が未だにサンタクロースを信じている幼稚な男だとすれば、腹から笑いが込み上げてくる。

_____しかし、あの男が何も知らないわけがないとも考えてしまうのだ。言動や思考は子供っぽいが、其処に隠れているのは他人より優れた知識と推理力である。

(…仮に、私が"サンタクロース"なんていない。って話をしたとしたら…)

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乱「は？そんな事知ってるけど。なに？Aはまだあんなの信じてたんだ。お子様だねェ〜」

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『ムカつく…ッ！！』

福「A？」

絶対の絶対莫迦にしてくるはずだ。よし、この事はどちらにせよ黙っておこう。そう思った間宮であった。

『其の話は私からしておくわ。福沢さんは忙しいだろうし。プレゼントのことも、任せて』

福「？ああ。お前には苦労をかける。頼んだ」

_______そして現在

(夜中に起きてそっと置けばいいか。起こさなきゃいいんだし)

グラスに入ったジュースを見つめ、少し笑みを溢す。あの男を掌で弄んでいる気分だ。

『ふふ』

乱「何笑ってるの？」

『ｯ？！ら、んぽ』

背後から声をかけられ、ビクッと肩を上げる。振り向けば、菓子を頰に溜め込んだ乱歩の姿があった。

『な、なんかハムスターみたいになってるけど？』

口元の食べかすを取り、ポイとゴミ箱へ投げる。

乱「今日ははやく寝ないとだからね！てことで帰るよ」

『そう、早いのね…って私の家だったか』

乱「はやく準備して！置いていくよ！」

『なんであんたが置いていく側なのよ！！』

口争いをしながらも、皆に別れの言葉を云ってから二人は事務所を出たのであった。

_______間宮邸宅にて

『はい。布団敷いたから此処で寝なさいよ』

乱「えー僕ベットがいいんだけど！」

ブーブーと口を尖らせる乱歩をあしらい、枕を取り出す。
寝巻きに着替えた乱歩は、何時もより幼く感じられた。

乱「前は一緒に寝たじゃん」

『…変な云い方しないでくれる？あれはあれこれはこれよ。私たち、もう子供じゃないんだから』

乱「ふぅん…」

『それとも、深夜まで映画でも見る？』

揶揄うように間宮が冷やかすと、乱歩は大きく首を張った。
そして布団に潜り込み、深く布団を被る。

乱「そんな事したらサンタさんが困るだろ」