初詣 ページ20
乱「A!はやくー!」
『人が多いから先に行くなつってんでしょ!』
年も明け季節は冬。神社には多くの人が集まり、賑わっていた。其処に名探偵と用心棒が二人。
『なんで急に初詣なんか…』
ため息をつくと、気霜がふわりと漂う。気温が低い証拠だ。
如何してこうなったのか、時は一時間前に遡る。
乱「…あ」
乱歩が「初詣に行きたい」と溢した元旦の昼。到底、探偵社は暇を持て余してはいなかった。何時も以上に業務に追われていた社員たちは、乱歩の言葉により一気に血の気が引く。
敦は冷や汗を垂らしながら、小声で国木田に問おた。
敦「く、国木田さん如何しましょう皆さん今手が離せませんよね!?」
国「否大丈夫だ。こんな時に頼りになるのは_______」
与「……」
谷「……」
賢「……」
鏡「…」
『……え、何、なんで皆んなこっち見るの』
一気に集まる視線に、必死に目を逸らす。
与「お正月は社長も忙しいからねェ」
賢「年賀状の返事や各企業への挨拶もありますからね!」
『そ、そんな事云われても私にも仕事が』
乱「はやく準備してよA」
全(((まさかの名指し)))
_______と云うわけである。
間宮はマフラーを巻き直し、ぶるりと震えた。冬の醍醐味である雪は子供にとっては娯楽の一つなのだろうが、間宮にとっては不快なものでしかなかった。
(滑るし歩きにくいし…)
そんなことを考えながら、足早に乱歩に追いつく。冷たい風が吹く中、賽銭を投げて手を合わせた。「僕の分も出して」と云われた時には殴ってやろうかと思ったが、強く思いとどまった。
同じように手を合わせている乱歩を横目に、間宮も目を閉じる。確か、心の中で願い事を云わないといけなかっただろうか。
(今年は此の我儘に振り回されないようにしてください)
他力本願ではあるが、これを神に願うのもまた一興。
列を外れ、広場に出る。
『何を祈願したの?』
乱「僕は欲しいものなんて全部持ってるし。名探偵は神に縋る必要はないんだよね」
『縋るってアンタ…』
『もうちょっと云い方考えなさいよ』と説教するも、其れも届くはずも無く。
乱「まァ、今年も僕が善い年にしてあげるよ」
『…ふふ、なによそれ』
自分は此の男に翻弄されたくないと祈願したのに、其の男から「善い年にしてやる」と云われるなんて、なんて皮肉な話だ。
『今年も宜しく。乱歩』
次回おまけ
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誰って?ふふ、アタシにも分からないわ。 - あぁぁああ!!ツンデレ具合が可愛すぎます....!! (5月8日 23時) (レス) @page38 id: 47436d7826 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - ゆいたろー!さん» ほんとにですよね〜! (2月25日 4時) (レス) @page32 id: 24087fee12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - 乱歩さんかわいい!! (1月25日 22時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
さぁや - 面白くて一気見してしまいました(笑)これからも頑張ってください! (12月28日 23時) (レス) @page11 id: ee7d1e5722 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - アーテルさん» ありがとうございます!聴いてみます! (11月27日 22時) (レス) id: 2f7e82fb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年11月6日 18時