決め手 ページ38
- 東 -
捕虜だったものを見て、驚きを隠せない。俺たちが驚いている間に救護班がやってきて男性を運んで行った。気を失っているだけならいいんだが…望みは薄そうだ。
運ばれていった男性を黙ってみていたAが救護班の退室を見届けて、席を立った。そして一つ小さくため息を吐いた。かなりストレス負荷が強かったはずだ、よく耐えたと思う。
「お疲れ。大丈夫か？」
『はい』
俺の方を見ながら笑って答えたAの顔は、久々に正面から見たが以前より断然健康的だった。…色々あったが、いい方向に進んでいるんだろう。安心した。
「良く気付いたな、ダミーだと」
『あ…情報取れなくてすみません…』
「会話すると私じゃこっちのこと話しちゃいそうで…」とAは後頭部をかきながら鬼怒田さん達に頭を下げた。しかし、Aの判断は正しかった。あいつが本人じゃないのなら情報の信憑性も低いし、捕虜交換の価値もなかった。
「それで、決め手は何だったんだ」
風間が改めて問い直すとAは自身の目を指さした。
『瞳孔が動いて無かったんです』
「と、言うと？」
『人間、生命活動をしていれば瞳孔は動くはずなのに彼は動かなった。…殺そうと首絞めたときのことを冷静になって思い出してみたら、そんなことがあったので』
「まあ、確証とまではいっていませんでしたが」と前髪をいじった。
あの冷静じゃなかった時のことを後日冷静に分析…疑うわけじゃないがそんなことが果たして人間に可能なのかと思う。しかし、Aは実際に結果を出している。末恐ろしい奴だ。
『…もし水世が連れていかれたら、ああいう風に利用されていたと考えると怖いですね』
自然とAの口から出てきた水世の名前に少し驚く。一時はAの前でも水世の名前を出すのはタブーだった時期があったから、何とか持ち直したのだと安心。
「…水世と話せたんだな」
『はい。ちゃんと、二人で話せました』
少しうれしそうに話すA。二宮達から話を聞いた時はどうなる物かと思ったが、きちんと話し合いができたようだ。
「それで、どうなった？」
先程の近界民と同じ質問を投げかける。
Aは先程近界民に向けた顔ではなく、そしてさっき見せた嬉しそうな顔でもなく、今度はいたずらっ子のような顔をして俺を見上げた。こいつもこんな顔するんだなと思う。
『どうなったと思います？』
その答えは、後日衝撃的な事実と共に判明する。
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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした！めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (
レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！！うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです！ (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます！勉強頑張ってくださいね！ (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます！焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします！ (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね！！応援してます！連コメすみません！ (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2022年1月19日 0時
