大規模侵攻XXVI ページ27
- 木崎 -
豹変。正にその言葉が当てはまる。
Aが近界民に攻撃を受けた際に、アイツの携帯は壊れたため音声は無い。
しかし、モニターに映るAはAであってAではなかった。近界民の首を絞めるその姿に、俺も京介も呆然とする。宇佐美と陽太郎はそのあまりの変貌ぶりに恐怖を感じ、目に涙を浮かべている始末だ。
Aがこんなに怒りを露わにしたことが、出会ってからあっただろうか。
そもそも、Aが怒ったことがあっただろうか。少なくとも俺は思い当たるところ一度も無い。
負の感情を感じない訳ではなかったはずだ。でもAは同年代の隊員と比べても異様に落ち着いていたし、”許す”という行為が当たり前のように出来ていた。…いや、許すというか諦め…もしくは”無関心”の方が正しいような気がする。
あの寛大で温厚な性格の裏に隠されていた本当の感情は”無関心”だったのかもしれない。水世との関係のこと、そして仇である近界民への報復以外の何にもAは興味が無かったのかもしれない。
俺たちが見ていた”高槻A”は、虚像だった。
本当のアイツは、俺たちが思っているよりも優しい人間じゃなかった。
そしてそれが今、俺たちの目に見える形で、それが現れた。
「こんなのAちゃんじゃないよ…！！」
「お名前平仮名〜〜！！ころしたらだめだ〜〜！！」
陽太郎の言葉でハッとする。
そうだ、あの近界民はもう無抵抗だった。近界民とは言え無抵抗な人間を殺してしまえばAの処分は免れない。それに気付いた俺は直ぐにパソコンで二宮隊、生駒隊に無線を繋いだ。
「Aを止めろ！相手は無抵抗だ！！」
俺がそう指示を出すと一番最初に動き出した犬飼がAを近界民から引きはがし始めた。そして次々に動き出し、二宮と隠岐を除く全員掛でAと近界民を引き剥がした。引き剝がされてもなお、Aはジタバタと犬飼と南沢の拘束から抜け出そうともがいた。その姿は、もう理性を失った動物にも近かった。
そして、ようやく大人しくなったA。
その表情は先程とはまた違って、悲しみと苦しみを映していた。
《なんで…》
偶然つながってしまっていた、犬飼の無線からAの声がした。
今にも、泣き出しそうな、そんな声。
《なんであの時…私を殺してくれなかったの…》
その言葉と共に、檸檬色の目から水滴が一粒零れ落ちたのが見えた。
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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした！めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (
レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！！うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです！ (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます！勉強頑張ってくださいね！ (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます！焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします！ (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね！！応援してます！連コメすみません！ (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2022年1月19日 0時
