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大規模侵攻XXIV ページ25

- A -

私の予測道理、アイツは私の背後を取ってきた。首に刃が届く寸前で、ブレードの活動限界だったのかブレードは崩れ落ちた。そして、隠岐によって射抜かれた体は生身へと変わり、地面に転がっていった。それを見て、私の口角は自然と上がる。

勝った。ついに本体を仕留めた。私の勝ち。

地に伏したそいつを、生駒さんと辻君が直ぐに押さえた。これで、奴の打てる手は無くなった。近界民とは言え生身の人間がトリオン体の男性二人に適うはずがない。

桔梗色の瞳がこちらを見ている。未だに余裕を含んだ眼差しで。
こいつの処遇はきっと捕虜だろう。殺されることは無い。不本意だが、ボーダーの今後の為には致し方ないことだ。この状況でも、辛うじて私の理性は働いていた。殺したくて、殺したくて溜まらない相手が目の前で最大の無防備を見せているこの状況でも。


「Aさん、もう十分ですよ。怪我も軽症じゃないんですから病院行きましょう!」

『…そうだね、我儘を聞いてくれてありがとう』


南沢君の肩を借りてようやく世の場から動き出そうとしたその時、ある人物の声が私を引き留めた。


「…拍子抜けだな」


その言葉は、間違えなく私に向けられて発せられた言葉だった。まるで、”期待外れだ”と言わんばかりに落胆したような声で。


「結局は玄界の人間、生身の人間を殺すことはできないんだな」


更に私を煽るようにそう続けたそいつ。
辻君や生駒さんの黙れという指示など無視をして、そいつの舌は饒舌に回る。





_______「お前の怨恨は、その程度だった訳だ」




その言葉に、私の体は制御が利かなくなっていた。
斬られた左肩の痛みも、右脚の痛みも、回っていた視界も、全く気にならなくなった。人間、理性を失うほどの感情が爆発すると、限界を迎えていた体も機敏に動くらしい。

ただ、その首めがけて手を伸ばし、しばらく処理を放置していた伸びた爪を立て、そいつに飛び掛かった。突然のことにそいつを押さえていた辻君と生駒さんの手が離れた。私はそいつの上に馬乗りになる形で、そいつの首を掴む手に力を籠める。私を見る桔梗色の瞳が、意表を突かれたように初めて驚きの色を見せる。


『そんなに殺して欲しいなら喜んで殺してやるよ!!!』


もう周りの静止の声など聞こえない。堰を切って流れ出した溜まりにたまった殺意は、どれほど流れても尽きることは無い。突き立てた爪の先に赤い液体が滲み出しても、私の理性は戻ってこなかった。

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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした!めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!!うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです! (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます!勉強頑張ってくださいね! (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます!焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします! (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね!!応援してます!連コメすみません! (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺世 | 作成日時:2022年1月19日 0時

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