W - truth - 【ワールドトリガー】

大規模侵攻XXI ページ22

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高槻Aを殺す手前で、玄界の兵が続々と集まって来た。しかもどうやら情報共有が早い様で、剣タイプの武器を装備した兵は下がり高槻Aを囲っている。

残ったのは銃使い1人と、システムはよく分からないが銃を持たない中距離タイプの戦闘員2人。そしてこれは予測だが、高槻Aの様に狙撃をする戦闘員が居るのであれば2人は居るとみた。まあ、少なくとも1人は何処かから俺を見ている筈だろう。

しかしまあ、面倒な事になった。
アフトクラトルの侵攻に乗じてサラッと高槻水世を連れて帰るつもりが、ここまで長引くとは。
そもそも何故俺が高槻水世にここまで執着すること言うと、俺の国の研究の数少ない“適合者”だからだ。上からは時間をやるから捕らえられるまでは帰国は認めないと言われている。だから、時間を掛けて時を待った。

だが、本当に邪魔なんだ。

高槻Aが。

ここで引いて再びチャンスを待ったとしても、高槻Aが生きている限り高槻水世の捕獲は困難を極める。あの女、異常に“目”がいい。正確に言えば、観察力が異常。微細な変化にすぐ気付く、不審な動きに敏感...トリオンが壊滅的に少ない故にサイドエフェクトの線は薄いが、レベルとしてはそのレベルだ。どんな生き方をしてくればそんな力が身に付くのか、教えて欲しいくらいだ。

だから、高槻Aは俺が玄界に滞在し高槻水世を狙っていた事に気付いていた。そして、ずっと牽制されていたのだ。温厚で大人しい性格でどうやら通っているようだが、俺からしたら何を言っているんだという話だ。

アイツは蛇だよ。

潜んで、潜んで、その時が来れば牙を剥く。
アイツは身体こそ弱いが、根っからの“戦闘員気質”だ。その気になれば人を殺す事だってできる。


だから、弱っている今、アイツを排除しておきたい。



俺はスーツの男に向かって走り出す。案の定攻撃を仕掛けてきたソイツの弾丸を弾きつつ避け、距離を詰める。そして、一気に詰まった間合いでブレードを振り上げる。

同時に、最後の“瞬間移動(ループ)”を使用する。

目の前には海松色の頭。
突然の事で、周りを囲っていた奴らの抜刀も間に合わない。


「死ねｯ！！」


俺は今度こそソイツの首に向かってブレードを振り下ろした。


『＿＿＿＿そう来ると思ったｯ...！！』


身を潜めていた蛇が、遂に牙を剥いた。

そして次の瞬間、俺の身体を何かが粉砕した。

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