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大規模侵攻XX ページ21

ー A ー

「二宮隊、現着した」

正に危機一髪のところで二宮隊が現着した。
死を覚悟したのに、また命拾いをした。

なんでだ、なんで私は生かされる。

頭の中でそんな疑問が渦巻く中、切って降ろされた戦いの火蓋が大きく燃え上がり始める。


「どこまでも運のいい奴だなお前はッ!!」


激昂したソイツは桔梗色の瞳に怒りを宿して、そのブレードを振り下ろした。反応が遅れた私は、その鋒が左肩を切り付けた。致命傷とまではいかないが、生身の人間が受ければ大怪我になるのは間違いない。

地面に這う状態になった私の左肩から赤い水滴がポタリポタリと滴る。生身なのだから当然痛みもあるし、ここまでの疲労だって溜まってる。満身創痍もいい所だ。右脚も酷い痛みだ。立つのもやっとかもしれない。

二宮さん達がアイツを牽制している間に、どうにか安全な所まで行かないといけないのに、身体は言う事をきかない。加えて今日は元々体調が優れない状態だった故、視界が揺れ始める。痛みと気持ち悪さで汗が止まらない。

さっき手放した携帯から何か声が聞こえるが、それも聞き取れない。まずい状態だ...思考も回らない...。


「ッAちゃん!!」


犬飼先輩が名前を呼ばる、揺れる視界でそちらを見れば鉄の棒が私に迫っていた。アイツ...二宮隊相手にしながら私を狙って来た。しかも崩壊した建物の鉄片で。敵ながら、その圧倒的な戦闘能力を尊敬する。

私は咄嗟に右腕で急所を守る体制をとる。右腕も使えなくなるかもしれない...詰みでしょそれは。

命落とすよりはマシかもしれないが、と思っていた矢先、鉄片と私の間に、朱色の隊服が現れた。そしていとも簡単にその鉄片を弾く。


「生駒隊現着!」


生駒先輩がそう発言した直後、誰かが私の身体を抱えて戦火の渦から引っ張り出した。


「A先輩!助けに来ましたよー!」

『南沢くん...』

「丁重に扱いや海。怪我人やからな」

「わかってますって!」


本当に分かっているのか否か、やや扱いが雑。
事実、小脇に抱えられている。故に水上先輩も若干呆れ気味だ。ただ、本当に助かった。そこは感謝を忘れてはいけない。


「「了解」」


南沢くんと水上先輩が突然そう呟く。
多分、指示が出たんだろう。


「トリガーの性質上、攻撃手がほぼ太刀打ち出来ひんからそのうちイコさんと辻が来る。それまで頼むで海」

「了解っす!」


そう言って、水上先輩は戦線に戻って行った。

そして、私はやっと安堵の息を漏らした。

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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした!めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!!うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです! (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます!勉強頑張ってくださいね! (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます!焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします! (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね!!応援してます!連コメすみません! (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺世 | 作成日時:2022年1月19日 0時

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