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大規模侵攻XVII ページ18

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迫りくる敵に、私は反応が遅れた。
そして、そのまま相手のブレードによって私のトリオン体は真っ二つにされてしまった。

<活動限界…システムエラー発生、緊急脱出実行不可>

頭の中にアナウンスが流れる。そして、私の体はトリオン製のものから生身へと変わり、そのまま後方に転がる。

想定し得る、最悪の事態だ。
迂闊だった。勝ちを確信してた...策略にハマったのはこちらだったって訳だ。
何時だ、いつ入れ替わった...私がそう思考を巡らせているとソイツの声が鼓膜を揺らした。


「“いつ入れ替わった”という顔をしているな」

『!』


私は所々痛む体を起こしながら顔をソイツに向ける。
そこには、余裕そうにブレードを肩に乗せ片足重心で立ち、冷めたような顔があった。


「最初、お前に奇襲をしかけたのは間違えなく俺だ。
そして、その後からはあのトリオン兵」


お前が建物貫通してる間に入れ替わった、とソイツは語った。じゃあレーダーに映ったり映らなかったりした理由って...本体かトリオン兵かの違いだったって事か。
確かに、此奴の黒トリガーの性能的にレーダーに映らなくてもおかしくは無い。

しくじった。どうしてその可能性に気付かなかったんだろう。


「お前の闘いを見ていて感心したよ。本体とトリオン兵の見分けを付けることは出来なかったが、その状況判断力、精密な射撃、戦術...トリオン量は劣等だがその分戦闘技術は片割れより頭一つ抜けているか」


そして、ソイツは再びこちらに向かってくる。


「お前を戦闘員として連れて帰るのも、いいかもしれないな」


ブレードを鞘に収め、真っ直ぐに歩いてくるソイツ。
どうやら言っていることは冗談では無いらしい。


『お褒めに預かり光栄だけど...』


私の言葉にソイツは足を止め、眉間に皺を寄せた。


『そっちに行くのは、お断りだよ』

「!?」


私の最後の足掻きに気が付いたのか後方に下がろうとするが、遅い。もうそのメテオラは起動してる。

爆発と共に、お互いの姿が見えなくなる。
そして、私は爆発に乗じて...というか勢いで運良くアイツから見えなくなる住宅の塀の辺りまで飛ばされる。

運が良かった...とりあえず身を隠して連絡を...


『いっ...』


右足首に鈍い痛みが走る。
捻挫...?いや、これいってるよね...多分。
しかしまだ動ける段階だった私はとりあえず近場の路地に入り、携帯を取り出す。


『頼む...繋がって...』


携帯を握る手に、無意識に力が入った。

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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした!めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!!うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです! (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます!勉強頑張ってくださいね! (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます!焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします! (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね!!応援してます!連コメすみません! (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺世 | 作成日時:2022年1月19日 0時

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