大規模侵攻XV ページ16
- 出水 -
緊急脱出をして、水世が見ていた画面をのぞき込むと、そこにはAと人型が戦っている様子だった。そして、Aが仕留めたそれは本体ではなくトリオン兵で、モニターに映るAの背後に人影が迫っていた。
「A後ろ!!!」
水世の警告も虚しく、Aは人型のブレードによって肩から腰に向けて真っ二つにされてしまった。これで戦線離脱か…と思ったその時、水世が今にも泣きだしそうな声で焦り始めた。そしてそれは水世だけではなく、柚宇さんも非常に焦った様子でパソコンのキーボードを叩いている。そして直ぐに、その理由を知ることになる。
「!!?おい…なんでA緊急脱出してねーんだよ!!」
画面に映るのは生身の状態で人型の前で転がっているAだった。なんでだ、なんで緊急脱出ができてねーんだ!?
「あの人型の使ってる黒トリガーのシステムのせいだよ...」
「はあ?」と俺が水世の顔を見れば、目を見開き画面を凝視していた。
そして、そのシステムはシンプルかつ黒トリガーとしても相応の価値のあるものだった。
「システムの無効化…だから…Aは緊急脱出が出来なかったんだ」
耳を疑った。システムの無効化?なんだそれ、チートじゃねーか。
…てかそうなると水世はどうやって緊急脱出してきたんだ。俺がそう問いかければ水世は頭を抱え、荒い呼吸を繰り返しながら「Aが助けてくれたの」と続けた。
そうか…Aが…
「私があの時緊急脱出したから…Aが一人で...攻撃受けて...あんな所に生身で...っ」
小さな声で呟く水世。相当パニックってやがる。
そして、突然動き出すと真っ先に隊室のドアに向かって行った。まさか...行くつもりじゃないよな!?それを察した俺は、咄嗟に水世を引き止めた。
「お前どこ行くつもりだよ!」
「誰か行かなきゃ…Aが...Aが!!!」
「今のお前が行ってもしょうが無いだろ!!換装できねーんだぞ!?」
水世を力ずくで連れ戻し、出て行かないように腕を掴んでモニターの前まで来る。このまま手を離したら水世は絶対に行く、間違いなく飛び出していく。
それくらい、今の水世には余裕が無い。
〈こちら二宮隊、高槻の救出に向かう〉
〈同じく生駒隊、向かいます〉
モニターから二宮さんの声と生駒さんの声が流れた。
恐らく、本部長がAの保護を優先したんだろう。
...頼みますよ、二宮さん達。
ここでも無力な俺は、願う事しか出来なかった。
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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした!めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!!うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです! (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます!勉強頑張ってくださいね! (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます!焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします! (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね!!応援してます!連コメすみません! (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺世 | 作成日時:2022年1月19日 0時