大規模侵攻XI ページ12
- 宇佐美 -
いつものAちゃんからは想像できないほど、冷たくキツい言葉遣いだった。冷静さを欠いていたし、余裕も無かった。でも判断は的確で、妥当性があった。しかし、そこに“自分の安全”は組み込まれていない。
Aちゃんは、自己犠牲的思考が強い。
昔、まだ本部に所属していた頃。
Aちゃんが風間隊に来て風間さんと話している時があった。近い時期に入隊したことや、水世ちゃんの事もあって風間さんとは親交が深かったみたい。
その時、こんな事を話していた。
「お前、ボーダー辞めたらどうだ」
それを聞いていた私も、うってぃーもきくっちーも驚きを隠せなかった。Aちゃんは当時から狙撃手としての実力は認められていたし、当の風間さんもその実力を認めていた。
「別に戦力外だからと言うわけでは無い。お前の今後の心理的な状態や身体の事を加味して言っている。
...知っているとは思うが、お前の主治医からは“ボーダーを辞めさせ水世と距離を置かせて欲しい”と言われている。
最善の選択を蹴ってまで、お前がボーダーに残る理由は何だ」
この時初めて、Aちゃんが心の病を患っている事を知った。いつも平然を装っていたその顔の下に隠されていたのは、疲れきってクタクタの心。でもそれを、Aちゃんは絶対に表には出さなかった。
そして、風間さんの言葉を黙って聞いていたAちゃんがその口を開き、空気を震わせた。
『護りたいんです、水世を』
強く、芯のある声でそう言った。
『両親との、最後の約束なので。それに...』
そこで言葉を切ると、瞬きを一つした。そして、その檸檬色の宝石の様な瞳を優しそうに細め、ニコリと笑った。
『私は、水世が大好きで、大切なので』
今思えば、あれは呪いに近いのかもしれない。
死んでしまった両親との約束を守り抜こうとするAちゃん。「もういいよ」と誰が説得しようとも、彼女の中でその呪いが解かれることは無い。解呪の方法は両親からの「もういいよ」以外、存在はしないから。
だから、Aちゃんは何としてでも水世ちゃんを護ろうとする。
例え、自分の身が危機に晒されようとも。
「...分かった、直ぐ送るね」
私はAちゃんの要望に答え、建物情報を転送した。
そしてAちゃんはそれを直ぐに確認すると、「ありがとう」と一言告げた。
《メテオラ》
唱えられたシステムの名前と共に、ヘッドホンから爆発音が流れてきた。
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紫苑(プロフ) - お疲れ様でした！めっちゃ面白かったです!!これからも頑張ってください<(_ _)> (2022年4月20日 17時) (
レス) @page46 id: 3be26313f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！！うまく言葉に出来ないのだけれども凄かったです！ (2022年4月20日 16時) (レス) @page46 id: ffd23d4fdd (このIDを非表示/違反報告)
あるみく(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初の頃からワクワクしたり、時には泣いたり、綺世さんの語彙力の多さや文の作り方物語の作り方…etcなどに感涙してきました。少し期間が空いてもいくらでも待ちます！勉強頑張ってくださいね！ (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1448334fe6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 焙じ茶さん» コメントありがとうございます！焙じ茶様の気持ち、しかと受け取りました。私も中々の限界オタクの時がありますから、こうなってしまうお気持ち、お察し致します笑焙じ茶様も体調にお気を付けてお過ごしください。今後ともご愛読よろしくお願いいたします！ (2022年4月5日 0時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - お体に気をつけて更新頑張ってくださいね！！応援してます！連コメすみません！ (2022年4月4日 20時) (レス) id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2022年1月19日 0時
