W【ワールドトリガー】

親近感 ページ21

- 雨取 -

「高槻...A...さん？」

修君がびっくりした顔でさっき紹介されたばかりの高槻さんを見ている。
遊真君と私も、状況が飲み込めなくて顔を合わせて首を傾げるしかできない。


『そう、私はA。君が知っているのは恐らく高槻水世。私の双子の妹、色々あって別居してるの。だから中学も違ったから間違えても仕方ないよ』


その説明に納得する。双子なら間違えても仕方ないと思う。しかも双子である事を伝えられてないのであれば尚更間違えると思う。

でも“色々あって別居”って...なんか踏み込んじゃいけない内容なのかな。Aさんは普通に言ってたけど...親御さんの離婚かな？


『彼はどこ中なの？』

「ハイチュウっす」

『ボケが古いんよ』

「じゃあ君に夢中っすか」

『もっと古いんよ』


真顔でボケる烏丸先輩にちゃんとツッコムAさん。思わず面白くて笑ってしまう。そして修君が「三門第三中です」と答えればAさんは「うん間違えないや」と優しく笑って頷いた。


「さて、全員揃ったところで本題だ」


そう、迅さんが切り出す。


「こっちの３人はわけあってA級を目指してる。これから厳しい実力派の世界に身を投じるわけだが、さっき宇佐美が言ったようにＣ級ランク戦開始までに少し時間がある。次の正式入隊日は1月8日、約３週間後だ。

この３週間を使って、新人３人を鍛えようと思う。
具体的には、レイジさんたち３人にはそれぞれメガネくん達３人の師匠になって、マンツーマンで指導してもらう」


迅さんの説明を聞いて、小南先輩が反論をするけれど迅さんの「ボスの命令でもある」で仕方なく受け入れたみたいだった。そして、小南先輩は遊真君を指導すると自ら指名をした。


「じゃあ千佳ちゃんはAちゃんになるね」

「あ、千佳ちゃんにはレイジさんが着いてよ」


迅さんの言葉に、栞さんとAさんが驚いた顔をする。
理由を栞さんが問えば「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」と返され、詳しい理由は教えて貰えなかった。
Aさんはそれを聞いて「レイジさんに...私の唯一のアイデンティティを...取られた...」と膝を抱えて落ち込んでいる。Aさん、狙撃手なんだ。


「まあAはボーダーでも指折りの狙撃手だし、時々指導貰うのもいいと思うよ」


迅さんはそうフォローしたけど、Aさんは変わらずコミカルに落ち込んでいた。

見かけによらず、意外と繊細なのかな。
なんだか親近感を感じる。

破滅か復元か。→←高槻先輩…？

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