勇気をください (ページ16)

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16.自由って難しい【黄瀬涼太side】ページ16

うわー最悪ッス！先に提出物出てこいって……
練習遅れるじゃないッスかー

『はじめてちゃんと＂友達＂って言ってくれた』

そんな声が職員室に行く途中の教室から聞こえてきた
Aちゃんだと思って声かけようとしたけど
入りにくい会話だったから何となく立ち聞きしていると

先生「友達？そっかいい言葉だな」

『中学の頃は友達とか仲間とかと過ごすのが当たり前だっただけど高校では自分から拒否ったせいで当たり前が当たり前じゃなくなったそれを全部わかったように隣にいてくれるこういうやつも奴もいるんだなって思ったよ』

先生「惚れたかそいつに」

『何言ってんの？』

先生「ガキだな」

『馬鹿か私は＂あのひと＂しか見てないから他に興味はない』

また＂あのひと＂という言葉が出てきた
一体どこの誰を指してるのか俺には分からない

けど…… 負けねぇーッスよ

「黄瀬くん？最近Aとよく一緒にいるね」

黄瀬「えっなんでッスか？」

「言うと怒られるんだけど私Aと中学同じだったんだ」

教室を覗かながらその子は笑った
＂黄瀬くんのおかげで前のAに少し戻った＂と

「A いっつもみんなの中心にいて盛り上げてくれてたのそんなAが大好きだった」

柔らかい声で話すその子の目は俺が青峰っちに憧れを抱いた時と同じ目をしている

黄瀬「そうだったんッスね」

「女バス入れば良かったなってずっと思ってたんだ Aのバスケは素敵だったから ……だから Aの事よろしくね？」

黄瀬「いやいや俺なんかが勝てないくらい大好きな人いるみたいなんッスよね誰のことなんだか」

「……んー紗菜さんかな？」

紗菜さん？女の子ッスか…もしや!!

「うん女バス四天王の1人ですっごいA大好きだったよ？好きって言っても憧れてる方だと思うけど」

黄瀬「そっそうッスかありがとう色々教えてくれて」

その子話しながら俺はそのまま職員室に向かって課題を出し、体育館に向かった

「私が話したことAに内緒ね？」

そう言って手を振りながら教室に戻っていく
あっ名前聞いておけば良かったッス……

高校じゃ嫌われ者のAちゃん中学じゃ真逆だったんッスね？

ほんとに一体何があったんッスか？