文豪達がゴキブリと戦うようです。【文スト】

宮沢賢治の場合。 ページ5

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「わぁ、ゴキブリさんです！」


何時でも、何があろうとも笑顔の宮沢賢治。


ゴキブリを見つけても笑顔だ。


寧ろ嬉しそうだ。


「僕は宮沢賢治って云います。
僕は実家で牛を飼ってるんですけど、牛舎によくゴキブリさんがいたんですよ。
でも、素直に接したら皆さん帰って行ってくれたんです。
ゴキブリさんは皆さん善い方達ですね！、とお仲間の方にお伝え下さい！」



ゴキブリ相手にぺこりと頭を下げる男は、この世で宮沢賢治くらいだろう。



賢治と数分程戯れた後、ゴキブリは巣へと戻っていった。



〜数日後〜



「ぎゃあああ！？ 」
「大変です、ゴキブリが社内に大量発生しています！！」


突如訪れた彼らの大量訪問は、武装探偵社をパニックに陥れた。


必死に逃げ惑う者、混乱し鉈を振り回す者、自分の駄菓子を死守する者、窓から飛び降りる者。


そんな中で、賢治だけが唯一のほほんとしていた。



「若しかして、この間のゴキブリさんですか？ 今日はお仲間さん達を沢山連れてきてくれたんですね！ それなら大歓迎です、ゆっくりしていって下さい！」



ゴキブリ相手にも笑顔を絶やさない賢治を見て、探偵社の面々は行動という二文字を忘れていた。


乱歩のスナック菓子を食べる音だけが響いていた。

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