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「ねえねえ!綾ちゃんの初恋はいつなの?」

「それわたしも気になります。」


柚宇さんと三上ちゃんのキラキラした瞳に苦笑しながら、

自分の手の中にあるカードに視線を落とす。

この手の話は永遠に女子から話題が提供され続けるので、話の切りどきがわからない。


「百戦錬磨の綾瀬クンの初恋とか俺も結構気になるわ。」

「やっぱりあれ?

こっぴどい恋のトラウマが今の綾瀬を形成してんの?」

「なわけ。

爽やかな甘い恋しかしたことねえわ。」


そんな何気ない呟きにも大袈裟なツッコミが入るんだろうな、と思っていたのに、

思いのほか薄い反応に顔を上げるとその輪にいたほとんどの人間が驚いた顔をしていた。


「え、何?」

「いや、お前のことだろうから恋って何?って感じだと思ってたわ。」

「お前ん中の俺のイメージなんなの?

この歳でそんなこと言ってたらリアルにおもしれー女、とか言ってるタイプの人間じゃん。」

「小南とかにそう思ってんだと思ってたわ。」

「小南はおもしれー女というか普通に可愛いじゃん。」

「お前はそういうところだよな。」


冷たい視線をこちらに寄越してくる出水を無視して最後の一枚のカードを机の上に出す。


「あーー!!!」

「ってことで俺はこれで。」


トイレでも行こうと立ち上がると、

向かいに座っていた風間さんが鋭い目で俺を見上げた。

意外な人物からのアイコンタクトに驚く。


「風間さん、どうかしました?」

「まだだ。」

「え?」

「ウノって言ってない。」

「・・・見逃してくださいよ。」


太刀川が嬉々として山札から引いたカードを渡してくるので、一応足を踏んどいた。




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作者名:名も無き者 x他1人 | 作成日時:2021年10月18日 17時

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