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「やっぱ、おたくの小南ちゃんはかわいいねぇ。」

「相変わらず愛が歪んでんねぇ。」


随分と暗くなった帰り道。

本部に用があるという迅さんと一緒にゆっくりとした足取りで基地に戻る。


「ねえ、迅さん。」

「んー?」

「さっき何が見えたの?」


俺が玉狛に戻れるか迅さんに聞いた時。

“俺が視える範囲では“と言う含みのある言い方をしていた。

だからきっと迅さんの視える範囲の未来で何かが起こるのだろう。


「Aにとったらちょっと面倒臭いことかな。

上層部も関わってくると思うし、Aも巻き込まれる未来の方が濃い。」

「上層部と迅さんが関わったらろくなことが起きないから嫌なんだよな。

まあ、優等生Aくんは大人しく上に従いますが。」

「いや、」


本部まであと数百メートル。


迅さんは俺の一歩後ろで足を止めて、真っ直ぐに俺を見た。

まるで俺の先を視ているかのような視線に俺も言葉が出なかった。


「今回お前は自分の利益をとっていい。

ボーダーや上層部の思惑や利益は考えなくていい。

自分のやりたい方を選べばいい。

それがボーダーにとって最良の選択だ。」


「・・・何それ。」


変なことを言う迅さんに思わず捻り出した言葉か細く震えていて、

そんな俺を見た迅さんはふっと優しく微笑んで俺の前を進んだ。


ややこしいことを言った。

ごめん、忘れてくれ。


いつもの声の調子のその言葉がやけに耳に蔓延った。




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作者名:名も無き者 x他1人 | 作成日時:2021年10月18日 17時

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