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「・・・で、いつもバカなともだちの図星発言にドキッとしちゃって俺のとこにきた、と?」
「言い方どうにかなんない?
きもいんだけど。」
「おまえもまだまだこどもだねぇー。」
「聞いてないし。」
風が吹き荒ぶ寒い玉狛の屋上で、
レイジさんが入れてくれたホットコーヒーを飲みながら迅さんと遠くの街を眺めた。
「もうすぐだもんな、ルイさんの誕生日。」
「兼命日ね。」
「おまえ、俺が気使ってやったのに。」
「別にいいよ。
死んだ人はどれだけ悲しんでも戻ってこないし。
てか戻ってこなくていいし。
こっちで苦労した分
どこまでもバカでお人好しで明るいバカだった。
それはもう救いようがないまでに。
そしてそのバカはたくさんの人を魅了し、引き寄せた。
その大半は俺みたいなどうしようもない奴らだ。
俺みたいなどうしようもない奴らはあいつみたいな奴に救いを求めるんだ。
「んとに救えないよなぁ。」
「まぁ、AがA自身のことを救えないんだったら、
まわりに救ってもらえばいいんじゃない?
Aのまわりにはそういう奴多いじゃん。」
「S極はN極引き寄せるしね。」
「俺もいつでも救ってやるからいつでも来いよ〜。」
片手を振りながら中に入っていく後ろ姿に、
もうすでに何度も助けられているということを彼はわかっているのだろうか。
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作者名:名も無き者 x他1人 | 作成日時:2021年10月18日 17時