5 ページ5
「やっぱり、俺まだ許してもらってない？」
「そのようだな。」
風間はため息をついて、太刀川が座っているソファーの横にある1人掛けのソファーに腰を下ろした。
「ちょっと気になっただけなんだけどなー。」
「あれはたしかにお前が悪いが、
あいつの過剰な人見知りも良くなかった。」
「人見知りなんてもんじゃない。」
" 恐怖 "
彼女が他人に抱く感情
同じ隊の風間たちには幾分かマシだが、
それでも完全にその感情がない、といったら嘘になる。
「あいつは家庭環境が少々複雑だ。」
「ふぅん。」
「でも、これから生きていく上で人との関わりは最低限必要だ。
このチームにいられるのも永遠じゃない。
他人を好きになれ、とまではいかないが、怯えずにしゃべれるくらいにはなってほしい。」
たぶん、それはあいつが一番そうなりたいと願っているのだとは思うが。
風間はその言葉を飲み込んだ。
以前のAなら太刀川を見た時点で隊室に入る、
という選択肢は自動的に削除していただろう。
それも無意識に。
太刀川を見つけても、逃げ出そうとしなかったことだけでもAの成長なのかもしれない。
「風間さんお父さんだな。」
「そのうちお前にもわかる。」
太刀川はそんなものか、と軽く相槌をカップに残っていたコーヒーを飲み干した。
「た、ちかわさん。」
そろそろ帰ろうか、と太刀川が腰を上げたとき、
オペレーター室と繋がる扉からAがそろりと顔を覗かせた。
「おー、どうした？」
「サヨウ、ナラ。」
「あー、これが母性本能ってやつなのかな。」
「お前は男だから父性本能だろ。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名も無き者
| 作成日時：2021年2月7日 23時
