花子さんの成長記録［ワールドトリガー］ (ページ15)

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「ここだよ。」

「おお！

ご丁寧にありがとうございました。」

「う、ううん！」

ペコリ、と頭を下げた遊真に慌ててAも頭を下げた。

「じゃあ、Aはこれで、」

「入らないのか？

Aもボーダーの人間なんだろ？」

「Aなんかが入る資格、ない、から。」

「日本では建物に入るのに資格がいるのか？」

「ない、けど、そういう意味じゃなくて、」

だんだん小さくなっていくAの言葉に遊真は首を傾げた。

「あれ、珍しい人が。」

「し、しおちゃん。」

「･･･？」

Aと遊真の間に漂っていた気まずい雰囲気のところに新たに登場した人が。

「栞ちゃんはAと知り合いなのか？」

「うん。

わたしももともと風間隊のオペレーターだったからね。」

「かざまたい？」

「現A級3位の部隊だよ。」

宇佐美の説明に遊真は驚いた。

目の前の頼りなさそうな少女がA級3位の部隊に所属している、という事実に。

「中入らないの？」

「今から入るよ。」

「ほら、Aちゃんも！」

「Aは･･･、」

いいです、と続くはずの言葉は彼らには届かず、

遊真によって開けられた扉に宇佐美に押されてAは中に入った。

広い玄関に一歩足を踏み入れるとAは懐かしさに泣きたくなった。

" あの頃 "と全然変わらない。

「Aちゃん、」

おかえり、

宇佐美のその言葉に小さく、しかし確かに頷いた。

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