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「(寝れない。)」
布団に潜ってからどのくらいの時間が経ったのか、
Aにはわからなかった。
上から落ちてきた衝撃に耐えられるようにかなりの弾力で作られており寝心地はそこまで悪くない。
むしろ、その辺の安物のマットレスより良いくらいだ。
そこに風間が持ち込んだ羽毛の掛け布団を被れば、
安眠へようこそな睡眠用ベッドが完成するはずなのだが、
今日のAは安眠どころか眠気すら起きなかった。
スマホの時刻は2時前を示していた。
Aはひとりで寝ることを諦めて毛布を持って立ち上がった。
ピーンポーン
「はーい、ってAちゃんだ。」
「ゆーさん、寝れないの。」
「それは大変だ。」
Aが訪れたのは太刀川隊の隊室
風間が帰る前に、今日は国近がオールでゲームすることを伝えていたのだ。
国近はおいで、とAを招き入れた。
中は真っ暗だったが、
唯一、国近がやっていたテレビゲームだけが仄暗く光っていた。
国近はソファーの上にあぐらをかいて座り、その間にAも座った。
Aの膝に毛布を掛けた国近はまたゲームを再開した。
小さな音が暗い部屋に響く。
決して眠るというのにいい環境ではないのに、
背中から伝わるぬくもりにAの瞼は次第に落ちていった。
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「おはようございまーす、って、」
朝9時を過ぎた頃にやってきた出水はソファーの二人に気が付いた。
「カレカノかよ。」
国近に囲われて眠るAと、彼女の肩に顔を置いて眠る国近
出水は静かに写真を撮ると風間に送っておいた。
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2021年2月7日 23時