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深夜3時、ルマシア海沖をSing船は進んでいた
霧が立ち込める海の上、見えるのは自分の数メートル先ほどのみ
他の船とぶつからぬようにライトなどを使いながら進むものの、いつもよりスピードは遅い
ちゃげ「うわあ……なんも見えないやんか」
ゆとり「今襲撃受けたらどっから来てるのかとか分からないなあ……」
当番制である夜の見張り役
そんな二人に霧の中音もなく忍び寄る“影”
ﾄﾞｯ
ちゃげ「う"っ！？」
ゆとり「え…ﾄﾞｯっあ」
首の後ろを手刀で叩かれると一瞬で二人は意識を飛ばした
霧の中での、ほんの数秒の出来事だ
静かにその“影”によって床に倒される二人
？「……ごめんな」
ゆっくりと開かれる扉
外は夜中だが霧のせいで少し明るい
しかし、部屋の中は変わらず真っ暗だ
その暗闇の中を音もたてずに一人の男が歩いてくる
部屋の主が眠るベッドへ向かうそれはベッドの横へとたどり着くと、口許を覆った黒い布の下でグッと唇を噛み締めた
ゆっくりと左足に手をやり鞘から短剣を抜いた
柄を両手で持ち、眠る彼の首元へと切っ先を向ける
あと数センチ下にすれば皮膚が切れるだろう
心臓を刺しても数秒は人は死なないらしい
その間に助けを呼ばれては大変だ
なら首を切ってしまえば手っ取り早い
短剣を持つ手が、震えた
震えと言っても小さい
しかし、男は慣れているはずだった
こんなことは今までだってあったのだから
なのにどうして、震えている？
震えを納めようとするも震えは収まらない
……自分を殺せなくなっていた
(……覚悟はしたはずだ)
あとは、この切っ先をさしこむだけ
深呼吸し短剣を少し上にあげる
そして一気に、首に降り下ろした
鮮血が飛び散る
ことはなかった
・
うらた「……誰だてめえ、どうやって入ってきた」
翠の瞳が暗闇で鋭く光った
男の腕を掴み、勢いよく起き上がると壁に叩きつけた
？「っ！」
しかし男は、全身を押さえつけられる前に足を上げてうらたの腹を蹴る
うらたの手が離れるとすぐに短剣を握り直して再びうらたにとびかかる
うらたは蹴られた反動でベッドから落ちるも、床に手をつき一回転してから、再び向かってくる男の刃を防いだ
うらた「何者だ」
うらたは暗闇でも目は効く方だ
しかし、霧のせいで完全に断たれた月光と男の顔を隠す布のせいで顔を認識することができない
男は無言だった
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山犬(プロフ) - 哀原。さん» ありがとうございます！長いので一気は大変だったでしょう…。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
山犬(プロフ) - りょくちゃさん» ありがとうございます！一つ一つこだわって書き書きしたので、そう言っていただけて嬉しいです！こちらこそ長いお話を読んでいただいてありがとうございました！ (2021年8月22日 21時) (レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
哀原。 - 友達に推されて一気に読みました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2021年6月2日 19時) (レス) id: 720f857f3f (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 完結おめでとうございます...！そして長い間おつかれさまでした！わたしは、最近知って読ませて頂いてたのですが、それぞれのお話にすごく切なくて感動しました。素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月17日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
山犬(プロフ) - ルナさん» ありがとうございます！長々と続いていましたが終わってしまいました(´∀｀)一つ一つ凝って書いたのでそう言っていただだけてとても嬉しいです！ご愛読ありがとうございました。 (2021年4月13日 19時) (レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山犬 | 作成日時：2020年4月3日 17時
