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船長室の前へと辿り着いた
閉まった窓から明かりが漏れている
多分彼はいるはず
深呼吸
(ちゃんと伝えるんだ)
覚悟を決めて扉をノックしようとしたその時
ｺﾞﾝｯ!
『いでっ！？』
突然扉が内側から開いて俺の額に激突した
思わず後ずさりして両手で額を抑える
？「えっ！？ごめん！！」
開いた扉からは恐る恐る顔を出すそらるさんが出てきた
そらる「あれ、Aじゃん。ぶつかったとこ大丈夫？」
『だ、大丈夫です……いって……』
目尻に少し雫を溜めながら顔をあげた
そらる「ほんとごめん……。それでどうしたの？」
『あ……えっと、その……』
あ、そっか、俺はこれから返事しないとなんだった
１回覚悟したのが切れたからかまた恥ずかしさが出てきた
そらる「じゃ、海でも見ながら話そ」
そう言われ、コクリと頷いて額に当てていた手を下ろした
船長室前の柵に寄りかかるそらるさんと、柵に座って向こう側に足をブラブラとさせている俺
なかなか話は始まらない
その沈黙の間なんて言おうか考えていると不意に、冷たい何かが漏れ出てきた
『…ねえそらるさん。俺さ、恋なんて俺はしちゃいけないと思ってたんだ。俺は過去に沢山人を殺した。……だから、俺は恋なんかにうつつを抜かしちゃいけないって』
未来を奪った俺が彼らよりも幸せになってはいけないと封じ込めてきたもの
そらる「……」
こんな俺が許されるのだろうか
『俺、本当にここにいていいの？こんな呪いを持ってる俺が、沢山人を殺した俺が…。……っ、誰かを好きになったら迷惑じゃないの…うわっ！』
つい泣きそうになったその時
グイッと後頭部に大きな手が回されて引き寄せられた
そして
ﾁｭ
彼の方に向けられた顔はそのまま彼の顔に近づいて、優しく、重ねられた
『なっ……！！』
そらる「俺が見てるのは、好きなのは、今ここにいるAなんだよ。過去にどんな事があったとしても俺はそれを君と一緒に背負っていく覚悟は出来てる。……だから、さ」
また目じりに溜まった雫を俺の頬を包む彼の指が優しく拭き取って
ふわりと愛おしいものを見るように笑った
そらる「俺と生きて、A。君を好きな俺の傍で笑っていて」
ついに零れた雫を流したまま、俺は彼の首に腕を回した
『"私"も、大好きです！！』
貴方と笑っていたいから
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山犬(プロフ) - 哀原。さん» ありがとうございます！長いので一気は大変だったでしょう…。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
山犬(プロフ) - りょくちゃさん» ありがとうございます！一つ一つこだわって書き書きしたので、そう言っていただけて嬉しいです！こちらこそ長いお話を読んでいただいてありがとうございました！ (2021年8月22日 21時) (レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
哀原。 - 友達に推されて一気に読みました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2021年6月2日 19時) (レス) id: 720f857f3f (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 完結おめでとうございます...！そして長い間おつかれさまでした！わたしは、最近知って読ませて頂いてたのですが、それぞれのお話にすごく切なくて感動しました。素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月17日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
山犬(プロフ) - ルナさん» ありがとうございます！長々と続いていましたが終わってしまいました(´∀｀)一つ一つ凝って書いたのでそう言っていただだけてとても嬉しいです！ご愛読ありがとうございました。 (2021年4月13日 19時) (レス) id: ae4ffc859d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山犬 | 作成日時：2020年4月3日 17時
