【d!】どっちもお断りだっつってんだろ【相.棒.組】 (ページ21)

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１９話ページ21

・kn side

風呂はゾムに取られたけど添い寝は死守した。混浴を許した時点でだいぶ譲歩したやろ。家主のグルッペンには申し訳ない気持ちもあるが譲れんもんは譲れん。

しかし広いな……俺ん家も相当やけど、やっぱ桁が違うわ。俺ら全員に1人部屋割り当てられるぐらいにはあんのに、その一つ一つがこの広さ。興奮してはしゃいだAが走り回ってもうバテたわ。

「寝るか？」

「んん……こねちゃん……」

目蓋を擦りながら寄ってきたAを抱き上げて寝かせてやると、ちっさい口を開けて欠伸をする。

俺も夜に強くはない。でも今は、もう写真の中だけになってしまった過去を見ていたい。

その隣に横になって肘をつきながら頬を突いてみれば柔らかい弾力に弾かれた。舌ったらずに抗議する姿に思わず笑ってしまう。

「え～、もう寝ちゃう？」

「煩い。入るなら静かに入ってこい」

ベランダから侵入してきた大先生。驚かんわ。絶対来ると思ってたからな。俺がお前の立場でもそうする。

「すまんすまん」と謝りながら俺の逆側から覗き込む。だらしなく緩んだ表情が僅かに狂気を含んだ。

「……ほんま、かわええなぁ」

「あぁ」

ほんまに。この何も知らん純粋無垢なコイツも、今の口が悪いアイツも。何もかもが愛おしい。

こんな世界に晒しておくには勿体ない。

ずっと考えていた。コイツを手に入れるためにはどうすればいいのか。外界からの接触を断てば、その目は俺だけを見てくれるのか？鎖で繋いでおけばお前が俺から離れていく事もなくなるのか。

想像するだけでゾクゾクする。この世に俺とお前、2人だけだったならどれほど幸福だろう。

なぁ、お前ならわかるやろ？大先生。

「…このままずぅっと俺らだけでいられたらどんなにええか……A、好きやで。好き。愛してる」

コイツがAを呼び捨てにする時は全てが本音、嘘偽りのない本能。寝てるAにぶちまけてもしゃあないやんか。

呆れながら頭を撫でていた手を頬から首へと滑らせると、俺より一回りも二回りも小さい手が小指を握る。

「ふたりとも、大好きだよ……」

「_________……」

……コイツはほんまに。

俺も大先生も握られた手を振り払うわけもなく、ただ項垂れた。

「…まぁた引き分けか」

「ただの寝言や」

昔から変わらんな。2人がいいなんて強欲な奴や。

「……愛しとるで、A」

この世の何よりもお前を、お前だけを。

だから早く、堕ちてきてくれよ？