死神さんは死にたいのか

百八話 ページ8

｢白牙さん｣

｢んー？｣

｢髪、切らないんですか？｣

私を自身の膝の上に乗せて長い髪をときながらそう言う浦原

｢これでも切った方だって。綾瀬が勿体ないとか言って、切らせてくれなくて参ってるよ。正直、鬱陶しいから今すぐ切りたい｣

｢確かに勿体ない気はしますけど、やっぱりボクはいつもの髪型の方が好きっス｣

｢んー、ならばっさりいっちゃおうかなぁ｣

私はそう言って自分の髪をひと房手のひらにのせた

でも、切ったら綾瀬が怒り狂うのが目に見えるんだよな

綾瀬そこそこ怖いしねちっこいんだよな














｢おお白牙、来ておったのか。一瞬、容姿が違うから誰かと思ったわい｣

｢あ、夜一にゃんこ｣

遠い目をしている中、猫姿の夜一がやって来て、私の膝にジャンプ

そのまま丸くなる夜一

｢おひさー。相変わらず綺麗な毛並みですなぁ、夜一ぬっこ様は｣

私はそう言って毛並みを撫でる

ふぁー、めっさふさふさだーと思ってると、背中から痛いほどの視線を感じはじめ

｢ん？なぁに、喜助ちゃん？｣

私は後ろを振り返りそう言った

｢...いえ、ただ羨ましいなと思っただけです｣

う、うらやま？なんで？

意味がわからず混乱する私を他所に、下からクツクツと聞こえてくる笑い声

百九話→←百七話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す