愛病 百四十七話 ページ47
イオリside
「貴様、名は」
「イオリ、うちはイオリだ。千手の者よ、名は?」
「扉間だ」
此奴以上に真っ直ぐな目をした男と私は生涯会うことはないだろう
名は千手扉間
千手一族の次男坊だ
うちは一族の写輪眼とはまた違う紅い瞳は、全てを射抜く程に真っ直ぐだった
「絶対に追いついてみせるからな」
波風を立てようが一度も揺らぐことはない
不屈の精神の持ち主だった
扉間は兎に角冷徹で厳格だった
「一族の為、里の為にお前との婚姻を結ぶことになった。異論は認めん、良いな?」
「私は別に構わないが、お前は良いのか?お前なら選びたい放題だろうに」
「馬鹿言え、選ぶ権利等俺にはない」
曲がったことが嫌いで他人だけでなく、自分にも厳しい男だった
「それに、他の誰でもなく、相手がお前であったことに安堵している。お前とて、何処ぞの馬の骨と結婚するよりは良かろう」
「いや、私にとっては皆変わらん」
「そんなわけがあるか、俺のような野心家且真っ当な男は早々居らんぞ。それでもお前はそんじょそこらの男共と変わらないと思うのなら言ってみろ」
「おい、顔が怖いぞ。後、自分で言うな」
かつての敵であった私との結婚を己の一族の為故に平然と受け入れ、一歩前を行く扉間は出会った当初と何ら変わらない
私には分からなかった
何故、この婚姻を扉間が受け入れたのか
己の一族たちを幾度も葬った女との婚姻を
「お前は私が憎くないのか?」
「憎くは無い」
「それは何故だ?」
憎いと罵りたい相手の筈なのに
「お前を愛しているからだ」
愛してしまったのだ
愛し合ってしまったのだ
愛おしい
憎い
愛して欲しい
殺したい
そんな感情で私の心は溢れていた
これらは全て生涯添い遂げると誓った夫へ向けたもの
ある感情は愛する男への愛
ある感情は愛した男への哀
「なぁ扉間、私が離縁すると言い出したらどうする?」
「そうさなぁ、まずその要因を絶つ。お前を唆した塵を消す。それから、飛雷神のマーキングをお前に施し監視する」
「おー、そうかい」
異常だ、普通ではない
だが、これを愛と呼ばずに何と呼ぶと言うのだ
愛とは恐ろしいものだよ、全く
447人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狗犬(プロフ) - あやさん» 有難うございます。そう言ってもらえて嬉しいです、今学業に力を入れている為更新が厳しい状況となっていますが、落ち着いたら頑張って更新致しますので宜しくお願いします! (10月2日 21時) (レス) id: c4cd770524 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 是非とも続き読みたいです! (10月2日 20時) (レス) id: f6af94ada0 (このIDを非表示/違反報告)
狗犬(プロフ) - りなーるさん» コメント有難うございます!いま、ネタを収集している最中ですので、暫くお待ちください。 (2023年4月2日 23時) (レス) id: c4cd770524 (このIDを非表示/違反報告)
りなーる(プロフ) - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます!! (2023年4月2日 20時) (レス) @page45 id: fcaf0d8ff7 (このIDを非表示/違反報告)
狗犬(プロフ) - ミミさん» コメント有難うございます!中々、更新出来ずじまいで、すみません。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2022年2月18日 9時) (レス) id: 53877cb946 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:狗犬 | 作成日時:2021年4月23日 21時