【NARUTO】愛は心を侵す病のように

愛病 一話 ページ1

『...イタチ兄さん...どう...して...？』

『ねぇ、どうして？』

あの日、あのとき

私は確かにこの目で見た

実の兄が実の母と父を殺すところを

これは夢なんだ、嘘だと思いたかった

『イタチ兄さん、どこ行くの?!待って！行かないで！！』

『弱い奴に興味はない』

けれど、悪夢(ナイトメア)は覚めてはくれない

あの日からずっとそうだ

目を閉じる度に、私はあの日見た紅い月を思い出す









あの日のことを思い出す度に考える

イタチ兄さんはなぜ、あんなことをしたのだろうか

一族のみんなを理由もなしに殺すなんて正気の沙汰じゃない

私の知ってるイタチ兄さんは、絶対にそんなことしない

なにかきっと理由があるに違いない

私はそう信じてる

それにしても...

何故、イタチ兄さんは私とサスケ兄さんを殺さなかったんだろうか

...ねぇイタチ兄さん...どうして？

返事が返ってくるわけがないのに、私は何度も何度も問いかける









「おい！ツバサ！！」

......イタチ兄さん

いま、どこで何をしているの？

「ツバサ！聞いてるのか？」

「えっ...？」

どうやら私は深く考え込んでいたらしい

誰かに両肩を掴んで揺すられ我に返った

「やっと気づいたか...」

その誰かとはサスケ兄さん

全然似てないけど、私の双子の兄

「ごめんなさい、サスケ兄さん。私ったら、考え事してて...」

「珍しいな、お前が授業中にボーッとするなんて」

そう言って謝罪すれば、サスケ兄さんは心配そうに顔を覗き込んでくる

「心配しなくても大丈夫よ、ただの考え事だから」

私は苦笑いを浮かべながら、兄さんにそう返した

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