隠したい過去 ページ8
智side
誰もいない教室に入った途端、相葉ちゃんの表情が変わった。
何かあったのかな？と思って声をかけようとしたけど、彼の手の震えを見てしまったら、
そんな簡単なことじゃないのかなって思った。
あの…ことかな…
あれから相葉ちゃんもニノも、特にその話はしなかったし、
翔ちゃんや松潤と一緒にいることが増えてから、山田たちは俺たちに近づこうとはしなくなった。
だから忘れてしまっていた。
智「相葉ちゃん、ちょっとこの後時間ある？」
そう言うと、相葉ちゃんは驚いた表情をしたけど、
「うん」とだけ言った。
高校生だし、お金もないから俺たちは近くの公園のベンチに座った。
智「あの、さ。
言いたくないならいいんだけど…」
俺はそう前置きをしたけど、彼は勘づいたのか
雅紀「…いじめのこと？」
低い声でそうとだけ言った。
こんな相葉ちゃん、初めて見た…。
やっぱり聞かない方がよかったのかな…
俺が言葉に詰まっていると、相葉ちゃんは「しまった…！」みたいな顔をして、いつもの笑顔で言った。
雅紀「あは…
ごめんね！
違うの！別に言い難いとかじゃないから…」
無理して笑ってそう言う相葉ちゃんを見て胸が痛んだ。
雅紀「気遣わせちゃってごめん…」
智「…どうして相葉ちゃんが謝るの。」
暫くの沈黙が続いた。
俺こそ、人の気も知らないで余計なことをしてしまった。
誰にだって聞かれたくないことくらいある。
隠したい過去だってある。
俺はバカだ…。
智「…ごめん。
やっぱり帰ろっか。」
俺がそう言って立ち上がると、「待って」と彼は俺を呼び止めた。
雅紀「…リーダーは
俺に何もしない？」
俯いて、彼はそう言った。
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作者名：haru | 作成日時：2020年8月11日 20時
