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和也side
ガタッ
和也「くっ…う…」
物音がし、俺はゆっくりと目を開けた。
思い出したくもない、あの場所だった…
ベッドも椅子もない。
コンクリートで覆われている小さな部屋。
部屋というか牢屋みたいな。
天井の近くに小さな窓が一つあるだけ…
この窓が、俺の希望を少しずつ奪っていったんだ…。
麻酔が徐々に解けてきて、ゆっくりと体を動かした。
和也「いっ…た」
体中に痛みが走った。
床には血も。
「…目、覚めたか。」
ビクッ
和也「…と、斗真？」
斗真が部屋の扉を開けて入ってきた。
和也「うっ…」
突然頭が痛くなり、手で押さえた。
斗真「…大丈夫か？」
斗真は屈んで俺に手を伸ばした。
でも体が拒否をし、斗真から少し遠ざかる。
和也「なっ…んで」
梶間の仲間である斗真が、意味もなく優しい言葉をかけてくるのが不自然で。
あの時、斗真を怖いと認識してしまった以上、近づくのは厳しい。
俺は重たい体をなんとか動かした。
斗真「…悪い。
梶間さん、あそこまでやるとは思わなくて…」
和也「あそこまで…？」
斗真は俺と少し距離をとり、周りを警戒しながらこう言った。
斗真「…意識ない和をずっとずっと殴り続けてて…
『待ってたよ。早く起きろよ』って言いながら…」
だからこの傷…
全く覚えてないけど、そんなことが…
和也「あの時から変わってないよ…
梶間は。」
斗真「…俺、見てられなくて」
斗真はあの頃の斗真だった。
本当は優しい奴だけど、何が彼を狂わせたのか…
梶間は、斗真の弱みを握って仲間にしているのか…
多分、潤くんの時と同じだ。
人の弱みに漬け込んで、仲間にして、利用して
そして裏切る。
仲間のことをただの道具としてしか見てない…
斗真「…俺、あの人」
バタっ
斗真の話を遮るように扉が開いた。
その人物を見た瞬間、俺の体は硬直した。
梶間「やっとお目覚めか。」
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作者名：haru | 作成日時：2020年3月2日 20時
