【◇】2度と忘れることのない君へ (ページ18)

今日:8 hit、昨日:12 hit、合計:107,738 hit

ヒーローだからページ18

·

御幸凛也(15)

俺にはひとつ、悩みがあります

家族は5人

長男である俺、7こ下の妹、10こ下の弟

父、母

父の職業はプロ野球選手…だったけど今シーズン引退をして
所属していたチームのコーチを務めるらしい

母は専業主婦、栄養管理士の免許を取っているので
毎日ご飯はバランスがよく美味しい

妹の名前は華恵(かえ)
名前の通り兄の俺から見ても華やかで可愛らしい女の子

弟の名前は優也(ゆうや)
最近親父にグローブを買ってもらって嬉しそうだった

見た感じ何の変哲もない家族

なにが悩みかというと…

「A～、いつ？いつそれ終わる？」

「洗濯物畳んでんのにそこにいられると邪魔！」

そう、5歳の弟よりも37歳の親父の方が母さんにベッタリだということ

母さんがメディアに一切顔を出さないのも親父が原因

昔から親父は母さんのことが大好きだったが
引退して時間が出来たのかどうか知らないけど
今年は一段とうざい

「兄ちゃーん、ぱぱがままとってくる～！」

「優也、よく聞け？元々ままはぱぱのなんだからな？
貸してるだけなんだ俺が。もう19年も前から俺のなの」

何言ってんだか…

「ゆうちゃん、諦めた方がいいよ」

8歳にしてこんなに悟った顔のした子はいないだろう

「ねぇ、ほんと邪魔、凛也この人どっか連れて行って」

「え。やだよ」

キャッチボールとかしてこいっていう意味だろうけど嫌だよ

「やじゃなーい！ついでにスイング見てもらいなよ」

「それは、見てほしいけど…」

この春から俺は青道高校野球部にお世話になる

埼玉からは通えないし、寮の方が野球に集中ができるので
ゆっくり家族揃って過ごすのはこの冬が最後

因みにポジションはキャッチャー

色々複雑な事情があった俺ら家族

母さんが昔親父のプレーを見て喜んでいるのを見て
俺もキャッチャーとしてプレーをすれば
喜んでくれるんじゃないかと思ったのは秘密だ

「はっはっはっ、礼ちゃんの目にとまったお前なら
きっと大丈夫だけどな、あの人敏腕スカウトマンだからよ」

そう、最初高島先生がうちに俺をスカウトしに来た
と聞いたとき親父はとても嬉しそうだった

「って、ことで3人で公園でも行ってきなさい
俺はままとお留守番するからな♡」

……やっぱり俺にはひとつ悩みがあります

それは親父が母さんにベッタリなこと

それと、

幸せすぎること、かな

·