ハグしていいですか？

22、愛をしたためる愛 ページ22

カラ松.



｢カラ松兄さん、その子のこと好きなら告っちゃえば?｣


トド松の一言は俺の思考をフリーズさせるのには充分だった。

まだfarst contactから一ヶ月だぞ?
いくらなんでも早すぎなんじゃないか?

だがそう思う一方で、彼女を俺だけのものにしたい。
そんな願望があることも確かなのだ。


｢ねぇ、どうなの?カラ松にーさん｣


気づけば、目の前にいたずらっ子のように笑うトド松がいた。
ほかのbrother達も興味津々とばかりに俺を見つめる。

俺だってAと付き合いたい。
だが、重要な問題が一つあるのだ。
……いや、問題は一つではないのだが、特に重要な問題。

それは、俺がニートだということを彼女が知らない事だ。
(※もう既におそ松がばらしていますが、カラ松はその事について知りません)

散々“家から離れない”やら“俺を養わないか”と言ってきたが、俺にだって常識くらいある。
そう、ニートは世間一般にはよく思われていない。
将来的に……け、結婚でもするとしたら、Aに養ってもらうことになるだろう。
俺にとってはありがたいことだが、彼女としたらいい迷惑だろう。
だからもし俺がニートだとバレて失望されたら……。
(※もう一度言いますが、ニートは既にバレています)

そんなことになるくらいなら今の関係を保っていた方がまだましだ。


｢もうっ!カラ松兄さん、聞いてる!?｣

｢あ、すまん。いやな、俺だってAと付き合いたいが、なにせニートだろ?それを知られたら｣

｢ああ、それなら大丈夫だぜ?｣


俺を遮ったのはおそ松。


｢なんでそう言いきれるんだ?｣

｢そりゃだって……｣


そこまで言って、おそ松はハッとした表情を浮かべて口を塞いだ。
心なしか慌てている気がしなくもない。

……あやしい。


｢い、いやぁ、なんかさちょっと喋っただけでいい人〜ってのが伝わってきたし、まずお前と一緒に出掛けてる時点で良い人でしょ!｣

｢それもそうか……｣


なんか馬鹿にされてるような気がしたが、まあいいか。
うーん、どうしようか。
でもおそ松がそこまで言うなら、やってみるだけやってみよう!


｢わかったぜ。俺のこの海のように深い愛を彼女のハートにぶつけてみようじゃないか!｣

｢痛ったー!痛いよカラ松兄さん!｣

｢カラ松兄さん、応援してマッスルマッスルー!｣


十四松の声援を受け、俺は緊張で小さく震える手でAに電話をかけた。

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