16、赤パーカー ページ16
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それからカラ松君と私は毎週末一緒に出かけるようになり、あっという間に一ヶ月経っていた。
やはり慣れとは怖いもので、今では君呼びもタメ口も当たり前になってしまった。
ある平日の夕方、仕事が終わり私が働いている雑貨屋さんを出て家へ向かう。
ちょうどその時私の視界に見慣れた後ろ姿がうつった。
『カラ松君!』
私が見つけたのは、松の絵柄が描かれた赤いパーカーを着てぶらぶらと歩くカラ松君だった。
カラ松君は私の声に気づかなかったのか、私が近くに駆け寄って声をかけるとやっと振り向いてくれた。
『カラ松……君?』
しかし振り返ったその顔は、いつものキリッとした顔ではなく、なんというか覇気のない表情だった。
カラ松君は一瞬不思議そうな顔をして、眉を潜めて、すぐにいつもの顔に戻った。
「どうしたんだ、カラ松gilr?」
『そ、そのカラ松gilrってのはやめてくれない?』
なんかカラ松君に“オレの女”と言われているみたいで、ちょっと恥ずかしい。
まあ、私の思い込み何だけどね!
私がそう言うと、カラ松君は少し顔をひきつらせていた。
今日のカラ松君ちょっとおかしい気がする。
声もなんとなく違うし、あんまりかっこつけてないっていうか。
「ああ、悪かった」
『いや、大丈夫なんだけど、カラ松君声どうしたの?風邪?』
「ぎくっ!い、いや、全くno problemだ!」
私がそう言うと、カラ松君は表情に出さないようにしているのだろうが、明らかに慌てているのがわかる。
「ぎくっ」って口で言っちゃうんだ。
『本当に大丈夫?』
「ああ、大丈夫だって!」
やっぱりなんかいつものカラ松君っぽくないな……。
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すずりん - とても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2017年12月20日 23時) (レス) id: 102b46b60c (このIDを非表示/違反報告)
青狸(プロフ) - にゃんこヒーローさん» スゲーありがとうございます!笑笑更新頑張らせて頂きます! (2017年11月20日 18時) (レス) id: 17b47670ec (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこヒーロー - スゲー面白いです!続きが気になって仕方ありません!!これからも更新頑張ってください!楽しみにしています( ^ ∀ ^ )ノシ (2017年11月19日 0時) (レス) id: 6160959f20 (このIDを非表示/違反報告)
青狸(プロフ) - ハルメリさん» うぉあ!面白いなんて言って頂きありがとうございます!頑張らせて頂きますね (2017年11月11日 9時) (レス) id: 17b47670ec (このIDを非表示/違反報告)
ハルメリ - 更新、毎日楽しみにしています!とっても面白いお話で、何回読み返しても飽きません(*^^*)これからも頑張ってください! (2017年11月8日 20時) (レス) id: 56f8fd0f01 (このIDを非表示/違反報告)
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