13、忠告 ページ13
カラ松.
「いい彼女さんをお持ちですね〜」
「は?」
試着室へ向かう最中、隣を歩くgilr(店員さん)からかけられた言葉に思わず声を出してしまう。
gilrの言葉を完璧に処理し終えた時には、顔が火照っているのが自分でもわかるくらい赤くなっていた。
「ち、違っ!あの人は、知り合いというか……なんというか……」
「え!?カレカノさんじゃないんですか!?なんだ、凄い仲良さそうだったんで、てっきり勘違いしてました!ごめんなさいね」
「い、いや、大丈夫です……」
Aさんと、カップル……カップル……。
試着室で着替えている間、オレの脳内はずっと❛カップル❜とい言葉に支配されていた。
今までオレにはずっと無縁だったその言葉は、少し刺激が強すぎたようだ。
着替え終わり試着室から出てみれば、先程のgilrがやって来た。
「とってもお似合いですよ!あ、そうだ。私が言うのも何ですけど……」
そう言って、gilrはオレの耳元でささやいた。
「素敵な方みたいですし、他の男に盗られないように気をつけてくださいね!」
その言葉にオレは再び顔を赤くした。
そんなオレをみてgilrは小さく笑うと、Aさんの方へと背中を押してきた。
店を出る時のあのウィンクもきっとそういう意味だったんだろう。
オレはそう説明すると、Aさんはぼーっとしてみるみるうちに林檎のように真っ赤になった。
『……まじですか?』
「ああ、まじだ」
『え、嘘……』
「オレはgilrに嘘をつく程腐っちゃいないさ」
『す、すみませんでした!私早とちりして、なんか焦っちゃって……あんなこと言って本当にすみませんでした!』
Aさんはそう言うとオレが今までで見たこともないほどの角度で頭を下げてきた。
しかも何度も。
終いには土下座しそうなくらいだったので、慌てて止めた。
「いいんだ。勘違いで本当に良かった」
『本当にすみません!』
オレはもうとっくに許している、というか怒ってすらいないのにAさんはまだ謝ってきた。
このままいけば、優しい彼女はずっとこのことを引きずるだろう。
一歩間違えれば一生会えなくなる何てことも……。
それはまずい。
オレは初めて、こんなにも一緒に居て楽しいと思ったgilrを見つけたんだ。
ここで手放すなんてオレが許さん。
しかしどうすれば……。
オレはどうもいい案が思いつかず、彼女を見つめる。
その視線に気づいたAさんが不安そうな瞳でこちらを見てきたその時、オレの頭に妙案が浮かんだ。
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すずりん - とても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2017年12月20日 23時) (レス) id: 102b46b60c (このIDを非表示/違反報告)
青狸(プロフ) - にゃんこヒーローさん» スゲーありがとうございます!笑笑更新頑張らせて頂きます! (2017年11月20日 18時) (レス) id: 17b47670ec (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこヒーロー - スゲー面白いです!続きが気になって仕方ありません!!これからも更新頑張ってください!楽しみにしています( ^ ∀ ^ )ノシ (2017年11月19日 0時) (レス) id: 6160959f20 (このIDを非表示/違反報告)
青狸(プロフ) - ハルメリさん» うぉあ!面白いなんて言って頂きありがとうございます!頑張らせて頂きますね (2017年11月11日 9時) (レス) id: 17b47670ec (このIDを非表示/違反報告)
ハルメリ - 更新、毎日楽しみにしています!とっても面白いお話で、何回読み返しても飽きません(*^^*)これからも頑張ってください! (2017年11月8日 20時) (レス) id: 56f8fd0f01 (このIDを非表示/違反報告)
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